5特に若年層と⾼齢層は悪い情報からは学ぼうとしないことが指摘されている2、3。他⽅、「良い情報」は年齢に関係なく「悪い情報」より学ぼうとする。⾃転⾞利⽤者の多くは⾼校⽣以下の若年層であるし、当該年齢の交通事故も圧倒的に多い。すなわち、若年層の⾏動を変えたければ「良い情報」「好ましい情報」「良い⾯」に着眼して情報提供することが重要であると考えることができる。 図 2-2 株価と株価サイトへのログイン数の関係1 2-2.どのような⽅法で「伝達」するか ⼈の⾏動変容を促す⽅法としては、交通計画の分野でも交通需要マネジメント(TDM)やモビリティ・マネジメント(MM)をはじめ、さまざまな取り組みがなされてきている。情報の伝達⽅法という観点では、TDMはどちらかといえば提供者による⼀⽅向的な提供といったアプローチであり、MMは双⽅向的アプローチになろう。これらの施策は、交通⼯学や交通⼼理学の知⾒を応⽤し、⼈の交通⾏動をより適正なものに促すという観点で極めて有益であることが知られている。他⽅、本研究では、新たなアプローチとして認知科学的アプローチに着⽬する。先に⾔及した認知神経科学者であるTali Sharotは、⼈に⾏動の動機を与えるに際して、以下のポイントが重要であると指摘している1。 2 R. Chowdhury, T. Sharot, T. Wolfe, E. Düzel and R. J. Dolan (2014) Optimistic update bias increases in older age, Psychological Medicine, 44(9): 2003–2012. 3 Christina Moutsiana, Neil Garrett, Richard C. Clarke, R. Beau Lotto, Sarah-Jayne Blakemore, and Tali Sharot (2013) Human development of the ability to learn from bad news, PNAS, 110 (41), 16396-16401
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