474.⾃転⾞通⾏空間の適正利⽤に向けた政策課題の検討 4-1.提案 本研究では、⾃転⾞通⾏空間の適正利⽤向上において(1)Social Incentives (SI)(社会的動機)(2) Reward (R)(報酬)(3)Progress Monitoring (PM)(前進の監視)といった認知科学的アプローチからの検討を⾏った。 「意識調査を通じた効果検証」においては、⾃転⾞通⾏空間の整備に⽐べてSI提⽰が⾞道通⾏意向に与える影響は⼤きくないものの、計画および政策としての実施しやすさ、実施時に有効となる影響範囲の広さという観点を加味すれば、SIや罰則情報といった情報提⽰による⼿法の有⽤性は決して低くないこと、SIは学⽣向け、罰則は⼀般に対してより効果が期待できることを指摘した。「実フィールド実証を通じた効果検証」においては、命令情報の看板提⽰は効果の即時性がある⼀⽅で時間の経過とともに効果が消失していく⼀⽅、⾞道通⾏率の看板提⽰は効果の即時性は⾼くない⼀⽅、設置後、徐々に⾞道通⾏率を向上させる効果があることを指摘した。 本研究の成果からも確認できるが、⾃転⾞通⾏空間の適正利⽤向上に向けては、ガイドラインに準ずるような適正な⾃転⾞通⾏空間整備の推進がまずもって重要である。そのうえで、相応な整備がなされた空間であるにも関わらず、適正利⽤の向上がみられないケースにおいて、本研究で検証したアプローチが有効となることを改めて強調しておきたい。豊⽥市においても、いくつかの⾃転⾞通⾏空間において、本⼿法の適⽤が可能であると思われる箇所が散⾒される。そのような箇所において、政策として検討をしようとする際、以下のようなアプローチで進めることを提案したい。 まず、「意識調査を通じた効果検証」の成果から、⾃転⾞通⾏の適正利⽤に関するパンフレットの配布を提案する。配布は⾃転⾞通⾏空間整備区間を利⽤する⾃転⾞利⽤者に対して⾏う。提供内容は、学⽣にはSIを⽤いた内容を、⼀般には罰則を⽤いた内容のものとする。学⽣は豊⽥市内の中学校、⾼校と協⼒し、毎年の交通安全教室(毎年4〜7⽉に実施)の際に配布するなどとする。⼀般に対しては、⾃転⾞通⾏空間整備区間を通⾏する⾃転⾞利⽤者に対して、⼿渡し等で配布する。配布は、交通安全運動と併せて実施することで配布の⾃然さを演出する。 次に、「実フィールド実証を通じた効果検証」の成果から、地域との共働による情報提⽰看板の設置を提案する。⾃転⾞通⾏空間整備がなされている地域会議等の地域組織に働きかけ、地域予算、わくわく事業などによる看板の購⼊を提案する。看板は命令情報、⾞道通⾏率情報の2種類⽤意し、整備区間に任意間隔
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