自転車通行空間利用率向上に向けた新たなアプローチの試みと地域への展開
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15 表 3-3 SI群へ提⽰した「⾞道を⾛⾏する」と回答した割合 画像番号 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ SI群への提⽰内容 77% 61% 40% 72% 46% 18% ※本値は「制御群」での調査結果から導出 これらの回答結果を⽤いて、⼤きく以下のような⽅法で分析を進めた。まず各群別の⾛⾏位置意向の基本傾向の差について独⽴性の検定を通じて確認した。次に、交通事故の発⽣に顕著な傾向がみられる年齢に着眼し、年齢別でみた群別の⾛⾏位置意向の差について同様に独⽴性の検定を通じて確認した。 さらに、SIといった⼀種の情報提⽰による「介⼊」が、対象者の個⼈属性や居住地域の⾃転⾞通⾏空間の実態、リスク認知を前提とした場合に、⾛⾏位置の意向に対して有意な効果をもたらすか否かについて検証する。具体的には、⾛⾏位置意向を⽬的変数、個⼈属性や居住地域の⾃転⾞通⾏空間の実態、リスク認知、道路構造や通⾏空間整備内容を説明変数とした回帰モデルを構築する。導出されたモデルの解釈を通じて、情報提⽰による「介⼊」が与える通⾏空間利⽤率向上の効果について考察を⾏う。 3-1-2.結果 ⾛⾏位置意向の基本傾向 図 3-3に空間別の⾛⾏位置意向の結果を⽰す。全体的に専⽤通⾏帯(画像①、④)>⾞道混在(画像②、⑤)>整備なし(画像③、⑥)の順に⾞道を⾛⾏するとした割合が⾼くなっており、⾛⾏位置意向に与える通⾏空間整備の有効性が確認できる。また、多⾞線に⽐べ2⾞線画像における⾞道通⾏を指摘する割合の⾼さも確認できる。最も⾞道通⾏の指摘割合が⾼かったのは多⾞線におけるSI群(画像④)であり、唯⼀「⾞道を⾛⾏する」「主に⾞道を⾛⾏する」を合わせた指摘割合が8割を超えた。他⽅で最も⾞道通⾏の指摘割合が低かったのは多⾞線における制御群(画像⑥)であり指摘割合が唯⼀2割を下回った。各群別の傾向についての群間の独⽴性を検定するカイ2乗検定を実施した結果、⾞道混在(p<0.01)、整備なし(p<0.01)で有意差があった。⾞道混在は2⾞線及び多⾞線いずれにおいても、整備なしでは多⾞線のみ有意であった。SI群、罰則群において⾞道⾛⾏すると回答する割合が⾼く特に罰則群でその傾向が顕著であった。

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