9 (4)小括 Websterの遅延計算式とHCMの遅延計算式の第一項はほぼ同じである。第二項は同様に交通量のランダム性を表すが、計算式はかなり異なる。Websterのは単純に定周期制御に対するし、HCMには影響因子を追加して端末感応制御も対応できる。HCMの計算式は大量なパラメーターがあるため、そちらの検証は必要である。 2.1.2 伝統的な信号制御計算方法 (1)Websterの計算方法 1サイクルあたり車両総遅延時間D(式(28)、は式(1)に従う)をサイクル時間Cの関数として扱うと、各現示の有効青時間の比率が各現示の需要率の比率と等しいことを想定し、DをCで微分した値を0と置いたCが1サイクルあたり車両総遅延時間を最小とする最適サイクル長であるとしている。サイクル時間の近似最適値の計算式を推算した(式(29))。各現示の有効青時間の計算方法は上記の想定に従う(式(30))。 =∑1 (28) =1.5+51− (29) ここに、:サイクル時間の近似最適値(秒);:交差点の総損失時間(秒);:交差点の需要率;=∑,は現示に各ラーン組合せの最大需要率。 =(−) (30) ここに、:現示の有効青時間。 (2)Akcelikの計算方法 オーストラリア道路調査委員会のAkcelikが1981年に、式(29)に車両停止数を影響要素として信号制御最適化目標関数に加えて、サイクル時間の近似最適値を計算する式(31)を構築した。また、各現示に渋滞を引き起こさない(各現示に最大交通量を持つ進行方向の車両も円滑に通過できる)を目標とする最小サイクル時間の計算方法(次の段落で説明)を提案した(日本でも利用している(平面交差の計画と設計基礎編ー計画・設計・交通信号制御の手引,2018))。さらに、「決定的な進行方向を確定するが青時間を決まる前提である」を強調した。決定的な進行方向を確定する方法を提案した。その前提によって、様々な現示設定を想定して、信号制御の効果を評価した。
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