高齢者に対する施策の実施が健康寿命に及ぼす影響に関する研究
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3 動を行っていない人で6.4倍であることを示している.このことから,高齢者のフレイルに対するリスクとして,身体活動だけでは十分でないことが示唆されている.Holt-Lunstad Jら16)は,太りすぎないことや,運動すること,アルコールを飲み過ぎないこと,たばこを吸わないことよりも,社会とのつながりの種類や量が多いことや,社会とのつながりを介して受け取る支援が多い方が死亡リスクが低いことを示している. 以上の研究などから,高齢者の健康について,身体機能の維持だけではなく,交流や会話が重要であることが示唆されている. 1-2-3.本研究の対象と位置付け 既存の研究では,都市の環境や公共交通の利用が外出や健康寿命に寄与していることや,高齢者の健康に対し外出や会話が重要であることを示している.本研究では,車を運転できなくなった高齢者の外出手段として代表的なバスに着目した.その中でも,高齢者のバスに対する運賃施策が健康寿命に及ぼす影響について明らかとする.高齢者に対するバス運賃施策が実施された場合,高齢者の外出が促進され,その結果,健康寿命が延伸することに期待される.本研究では,全国の中核市を対象にしたアンケート調査から,高齢者のためのバス運賃施策の実施状況について把握を行う.また,全国の中核市で行われている健康施策の把握を行う.さらに,統計データを利用して健康寿命に影響するこれらの要因について分析を行う.つまり,交通や都市特性のもと,高齢者のバス運賃施策の実施が健康寿命に影響するかどうかについて明らかとする.図 1に本研究で扱う健康寿命への影響要因のイメージ図を示す. 図 1 健康寿命への影響要因イメージ 交通都市施策健康寿命外出会話交流

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