2020年度 自主研究概要 報告者: 鈴木雄 研究分野 1.暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2.解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 高齢者に対する施策の実施が健康寿命に及ぼす影響に関する研究 研究の背景・内容 ・平均寿命の延伸だけでなく,健康寿命の延伸が必要とされている. ・健康寿命の平均は都道府県により異なり,都市の特性や風習などが健康寿命に影響していることが考えられる. ・既存の研究では,外出や会話,交流が健康寿命に寄与していることが示されている. ・本研究では全国の中核市を対象に,高齢者の移動や健康施策の調査を行った. ・全国の中核市の健康寿命の算出を行い,バス運賃施策や都市特性の健康寿命への影響要因の分析を行った. 研究結果・ 得られた知見等 ・多くの自治体で高齢者のための交通運賃施策や,健康施策が行われていた.交通系,福祉系,都市整備系の部署間の連携には一部課題がみられた.健康寿命の算出を行っている自治体はおよそ6割であった. ・健康寿命に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「高齢者の活発性」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」が寄与している可能性が示された. ・平均寿命に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」,女性では「バス無料施策ダミー」「高齢者の活発性」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された. ・健康寿命の増減に対して,男性では「バス無料施策ダミー」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された. ・平均寿命の増減に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「都市サービス」「1人あたりたばこ税歳入」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された. 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 ・バス運賃施策の内容によっては,健康寿命に寄与することの可能性が示された. 所内の担当者氏名・ 担当者 鈴木 雄 協力先名 全国中核市の交通系部署・福祉系部署 問題点・課題・今後の研究予定・その他 ・健康寿命への影響要因分析について,交通施策しか組み込めていない.福祉系の部署から得た健康施策の要因について組み込むことが課題. ・健康寿命への影響要因分析について,解釈が難しい変数が存在する.健康寿命への影響要因は複雑であり,要因の組み合わせなどによる影響も考慮する必要がある. ・健康寿命や平均寿命が5年分しか算出できていない.施策の前後で健康寿命の変化を分析するべきであるが,データの制約上それができていない. ・今後は上記課題を踏まえつつ,健康寿命の影響要因を丁寧に分析する必要がある.
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