過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み
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46 (2)「ひと」「環境」「サービス」の観点からみた考察 以上の考察を踏まえて、コミュニティ交通の持続可能性に関係する項目である「ひと」「環境」「サービス」それぞれの関係について考察する。そのイメージを図6-1に示す。 コミュニティ交通の持続可能性には「ひと」に関係する項目が数多く関係している。これまでにも言われていることであるが、人材育成はもちろん、様々な意見や情報を交換できる仲間づくり(相談相手)、さらにはサービス見直しのための機運醸成なども含めた環境づくりを行うことが重要といえる。 財源確保については、行政予算の範囲や民間団体の事業収益の範囲でねん出することにより、運行者の一存で確保することはできる。お金は保有者の一存で如何様にも使えるが、人材はそうはいかない。人材確保について数年後の見通しがない地域が少なくないため、人材確保対策は急務である。その際には、地域の代表者が様々な機会にボランティア輸送への協力を呼びかけをすることや、積極的な情報発信を行うなどの先行事例を参考に、人材確保危機が深刻化する前から手を打っておくことが重要である。 また、本研究の調査では、結果的に「環境」に関する項目の影響が小さかった。地域環境にあったサービス内容が選択されている可能性がある。適材適所のサービスを提供することの重要が改めて示唆された。ただし、本研究の調査対象事例が、国等に紹介されるようないわゆる「優等生」ともいえる事例が多く含まれることが関係している可能性がある。 図6-1 コミュニティ交通の持続可能性に関係する項目とそれぞれの関連

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