44 人材確保は、移動サービス所在自治体の「2040年将来推計人口の変化率」や「人口密度」の順位が高い他、「運行形態変化なし」つまり過去に運行形態見直し経験がないと困難になる傾向である。また、財源確保は、移動サービスの収支状況の順位が高いことは理解できる結果といえるが、「自治体計画の位置づけ」がないと困難になる傾向が特徴的である。これらのことから、移動サービスの不断の見直しをすることがコミュニティ交通の持続可能性につながると考えられる。 (2)「ひと」「環境」「サービス」の概念からみた結果の考察 ここからは、コミュニティ交通を支える仕組みとして整理した「ひと」「環境」「サービス」の概念に当てはめて結果を考察する。 1)ひと 上でも触れた「評価・改善」に加えて、「自治体計画」への位置づけがないと財源の持続できる見通しが持てない傾向にある。また、補助金等がない団体でも、財源確保だけでなく人材確保をできる見通しを持つ傾向にあることから、そのような団体においては補助金を前提としない自立した運行が行われている可能性が考えられる。 2)環境 人材確保可能性と比べて、財源確保可能性は「環境」に含まれる項目の影響が小さい。この結果から、地域環境に応じた内容の移動サービスが提供されていることで、条件不利環境に適応した運行となっている結果、財源確保の心配が少ない可能性が考えられる。 3)サービス 人材確保と財源確保ともに、一人当たり総支出や収支率の項目の影響が大きい。利用者一人当たり総支出が大きいほど、収支率が大きいほど、人材や財源の確保ができる傾向にある。ただし、財源確保については、収支率0.05以上0.2未満の団体で財源確保のスコアが正となっている。一人当たり総支出が大きいと経営的には厳しい状況にあると考えられるが、人材や財源確保ができる結果となった背景には、そうした団体は規模が大きくないことが考えられる。同様に、0.2以上の団体はある程度規模が大きくなるために財源確保が困難となっている可能性がある。
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