40 一方、コミュニティ交通の持続可能性を考えるうえで、課題と考えられる意見も得られた。 その一つは、「交通事業者の実態を把握していない」という意見である。特に行政機関では、交通事業者の内情に立ち入ることは控えるべきとの考え方から、経営状況や人材確保状況を把握していない様子がうかがえた。 しかしながら、交通事業者の経営状況や人材確保状況を把握していないと、撤退の申し出が突如出されることにつながりかねず、混乱を招く恐れがある。交通事業者との連携を深め、持続可能な関係を築くことが重要である。 また、「補助金がなくなることはない」と考える団体が複数あった。これは、過去の経緯(例えば廃止代替路線を引き継ぐ際の取り決めなど)から、運行のための補助金がなくなることはないと考える団体が複数ある。これまではそのような取り決めが生きているかもしれないが、コロナ禍もあり今後はどうなるか不透明である。補助金がある状況でも、持続可能性確保や利便性向上のために新たな事業費確保を考えることは重要である。 (3)ヒアリング結果を踏まえたコミュニティ交通の持続可能性に関する考察 ヒアリングで得られた意見を、第3章の図3-1で整理した「ひと」「地域環境」「交通システム」の3つの概念に沿って整理することで、コミュニティ交通の持続可能性について考察する。なお、ここでは地域環境を「環境」、交通システムを「サービス」と解釈して整理する。 図4-1 コミュニティ交通を支える仕組みのイメージ(再掲)
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