36 4.ヒアリング調査 アンケート調査では、5年後の運行継続に必要な人材・財源の見通しについて質問を行い、各地域で取り組まれているコミュニティ交通の持続可能性について把握した。各地域の状況をより詳細に把握するため、対象を絞ってヒアリング調査を行う。 4-1.ヒアリング対象団体の抽出 (1)アンケート回答団体の自由意見の確認 アンケート調査では5年後の見通しを回答した際の理由や、運行をやめた場合の地域の足の確保見通しについて自由記述方式にて質問している。まずはその結果を整理し、ヒアリング対象団体抽出の参考資料とする。 表4-1に、5年後の運行継続に必要な人材・財源の見通しの主な理由と、注目すべき理由を整理する。 人材や財源が「確保可能」と回答する団体は、交通事業者の人材確保の実情を踏まえているのか、自治体財政の今後の見通しを踏まえているのか、疑問が残る。また、「組織として事業のひとつに位置付けている」など、注目すべき理由を回答する団体もある。これらは、ヒアリングで確認すべき点と考える。 表4-1 5年後の運行継続に必要な人材および財源の見通しの主な理由 種類 見通し 主な理由 注目すべき理由 人材 確保可能 交通事業者との協力関係 交通事業者に委託している ➡交通事業者の実情を踏まえた回答か疑問がある 組織として事業のひとつに位置付けている 法人内で兼務できる体制 運転手の人手に応じた運行内容で対応 共助組織にて若手の掘り起こしを行っている 確保困難 ドライバーの高齢化 運転手確保に苦労 委託先事業者から今後の人材確保に不安の声 5年後の見通しは立てられないが、継続は必要 地元自治体の意向が決まらない 町全体の施策の価値理解が進まない 財源 確保可能 自治体の補助金で運営 自治体の施策である ➡自治体の財政状況が悪化した場合の継続性に疑問がある コスト増や経営難の場合難しくなる ➡なんとか可能でも、先行きの不安を抱いている 効率化により市からの運行負担金確保を図る 低予算で運行 路線の見直しを行い市の負担を抑える 確保困難 補助金の継続性が見通せない 年々コストが上昇している 住民が運行することで経費を抑えているが住民が担えなくなると経費が上がる 互助方式で実施するようモデルパターンを検討 本業のタクシー事業が受けたコロナの影響で先行き不透明
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