2020年度 自主研究概要 報告者: 西堀 泰英 研究分野 1暮らしを支える交通、2.都市空間を支える交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み 研究の背景・内容 【背景】 • 地域公共交通やボランティア等による「コミュニティ交通」が各地域で数多く取り組まれている。 • コミュニティ交通を持続可能なものとするために、どのような意識で、どのような取り組みが行われているのか整理することで、今後の移動支援(モビリティを支える仕組み)問題を検討するための有効な知見を得ることができる。 【目的】 • 過疎地域におけるコミュニティ交通の現状について調査を行い、これらが持続可能であるために期待される仕組みと、地域への貢献を明らかにする。 研究結果・ 得られた知見等 • 地域公共交通や福祉輸送を調査した報告書の文献調査により、お金の問題だけでなく人手不足の問題も深刻なこと、旅客運送事業者以外の団体にとっては事故リスクも課題であることなどを把握した。 • 文献調査等を参考に抽出した127事例に対してアンケート調査を実施し、67の回答(回収率53%)を得た。その結果、5年後の運行継続に対して人材確保・財源確保が困難な団体が4割程度あることを確認した。人材や財源を確保できると回答した団体でも、人材は交通事業者任せ、財源は行政の補助金頼みの団体があった。 • アンケートの回答を深掘りするため10団体に対してヒアリングを行った結果、行政の補助金は今すぐに見直される状況ではない事例が多いこと、交通事業者の内部事情は把握されていない事例が多いことが分かった。また、行政以外の団体が自律した運営を行っている場合は、移動確保だけでなく地域全体の価値向上を意図した運営を行っていることが読み取れた。 • アンケート結果を用いて人材や財源確保に影響する要因を分析した結果、運営の評価・改善や自治体計画への位置づけなど、運営側の「ひと」に関わる要素が多く関係することが明らかとなった。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む • 人材確保だけでなく、運営側の「ひと」への対応が急務である。後者に対しては、一緒に運営に関わる仲間づくりや、相談できる人を外部に持つことも重要である。 • また、持続可能性を担保するためのサービス改善を進める際には、環境づくり(機運醸成)を行うことも重要である。 所内の担当者氏名・ 担当者 主担当者:西堀泰英 担当者:鈴木 雄 協力先名 一般社団法人グローカル交流推進機構 土井勉理事長、田中厳研究員 大阪大学 辻寛特任助教 名古屋大学 福本雅之客員准教授 一般財団法人トヨタ・モビリティ基金 山中千花様 問題点・課題・今後の研究予定・その他 • 財源は行政予算の範囲でねん出できるが、人材はそうはいかない。数年後の見通しがない地域が少なくないため人材確保対策は急務である。 関連論文(R2年度) なし
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