過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み
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5 (1)文献①「多様な地域公共交通サービスの導入状況に関する調査研究」の調査結果 本報告書では、国土交通省本省や地方の運輸局が策定した地域公共交通サービスの検討や評価手法等のマニュアル・手引き20編を収集し、内容を整理している。その結果、導入検討時や導入後の留意点を抽出している。 その概要は表2-2のように整理される。 表2-2 地域公共交通サービスの留意点 調査結果のまとめから本研究に関係する項目を抜粋して整理すると以下の通りとなる。 • マニュアル等を十分検討したうえで事業を実施している方が、効果がある (ここでの「効果有無」は、回答者(市町村等)の主観的判断による) • 利用者数の増減の3時点の経過状況は、コミュニティバスと比べてデマンド交通の方が「増加後減少」の割合が多い • モニタリングでは、利用者数を毎年継続的に把握したほうが、利用者数増に寄与 • デマンド交通で利用者増となっていた地域は、地域の足を確保する方針、高齢者を対象、事業者保有データの活用、集積分散状況の把握、デマンドやコミバスを含めた複数候補の検討、タクシー事業者との調整、利用者数による目標値の設定等の取り組みを実施 以上を踏まえると、文献①は利用者が増加している事例の特徴を提示したと言える。本研究の立場から考えると利用者の増加は持続可能性にプラスに作用すると考えられる。 導入の段階留意点ポイントの例導入検討時きっかけ・検討開始前体制や仕組みづくり、連携の考え方検討体制を整備、関係機関との連携、住民を含めた多様な主体、区域・目標・事業の明確化検討開始当初現状把握地域や利用者(住民)の状況把握、ニーズの把握ニーズとサービスの乖離路線選定・サービスの乖離、廃止代替としての対応詳細検討段階サービスの実態既存交通網・資源との連携、サービス水準、運行形態実態調査段階既往データ活用人口、移動実態、施設分布、道路網、都市計画、既存交通サービスの実態調査実施アンケート調査、ヒアリング調査運行形態・運行方式検討時運行形態の判断要素ルート・ダイヤ、需要の分布、財源、需要と費用の定量把握具体的検討事項道路構造・傾斜、運営主体、運行方法、ルート・ダイヤ、運賃設定需要予測利用者層の明確化、手法・手順、運行計画や収支検討、目標設定根拠目標設定解決すべき課題や達成すべき目標を数値・基準として策定、事業改善の判断基準具体的指標:利用者数、収支率、補助額、満足度、外出頻度、一人当たり収入導入前後時(継続的運行のため)サービスの検討・改善運行ルート、ダイヤ、車両、乗車・待合環境の整備、改善住民意識の転換ニーズとサービスのマッチング、過度な自動車利用の抑制、情報提供の必要性利用促進のポイントターゲットの明確化、住民参画、わかりやすさの工夫、意識醸成具体的利用促進策ニューズレター、公共交通マップ、体験試乗会、施設・環境整備、情報提供事業評価計画の評価・見直しのサイクルの構築、運行後のマネジメント

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