34造であるため、当該サービスの利用時間外となった場合、人件費分が施設の持ち出しとなってしまう点である。これは人的制約の一部とも捉えることができよう。利用者側としては、こちらも施設Aが指摘するように、実施費用を利用者に請求するスタイルの場合、家庭の経済的側面での制約が生じる点である。 時間的制約は先の費用的制約と類似している。すなわち、表 4-6にて施設Dが指摘するように当該活動の実施できる時間は生活介護サービスの利用時間に縛られ、その時間内で目的を達成できるという範囲に訪問先が制約されることである。 訪問先施設の制約は、表 4-6及び表 4-10にて指摘がみられるように、重心者の排泄や食事に加え、医療的ケアのためのスペースの確保といったハード的観点からのものがなされており、これは橋本ら9及び飯島ら10の結果を支持するものである。特に表 4-11にて指摘があるように、排泄にかかる時間は集団行動を前提とする場合に相応の制約要因になっており、外出先施設における利用できる施設数は計画プロセスに大きく影響を与えるものといえよう。 移動時の制約としては、表 4-7にて施設Aが指摘するように、排泄介助の問題や時間制約の課題により、まずもって、自家用車での移動が前提といった点が挙げられる。この前提をベースに、表 4-7にて施設Bおよび施設Dが指摘するように、さらに重心者の体調への影響から継続して乗車できる時間などに制約が生じている。これらの制約が実行プロセスに少なくない影響を与えることが予想されよう。 外出を伴う余暇活動の実行プロセス時においては、主に施設職員の意識が重要なものとなる点が指摘されている。表 4-12に示すように、目的意識の把握(施設A)、連携(施設D)、さらには、自身が楽しんでいること(施設B)といったように、当該活動の目的の成否において、介助職員の役割は大きいことがうかがえる。他方で、経験のない職員は、当該活動の責任の重さに不安を感じる場合があるとの指摘もあり、これは長嶋ら12の結果を支持するものであろう。 これらのプロセスの関係性を整理すると、図 4-1のようになろう。それぞれの矢印は各項目の影響の流れを意味しており、網掛けの項目は各種決定や結果に影響を与えることが予想される事項を意味している。当該プロセスを通じた最終的な効果(成果)については、便宜的に重心者の幸福感と表現した。また、表 4-10を参考に、今回のインタビューにおいて事業所側から課題の指摘があった項目を破線で囲っている。外出を伴う余暇活動の計画・実行プロセスの全体整理を踏まえた中で、指摘のあった課題を俯瞰すると、計画プロセス時では、ハード的側面である施設整備状況に、実行プロセス時では、ソフト的側面である施設職員及び訪問施設スタッフの配慮・対応にというように観点が分かれていることがわかる。それぞれのプロセスにおいて重視するポイントの違いが、課題を意識するポイントに反映されているように思われる。すなわち、計画プロセス時において重要な決定事項となる訪問先選定においてハード的側面が重要なポイントである一方、実行プロセス時においては、すでにそのポイントを踏まえた箇所が選定されていることから課題の俎上に載らず、ソフト的側面となる配慮や対応における課題が表象すると
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