24 外出を伴う余暇活動の外出先選定プロセスの重視事項 表 4-6に外出を伴う余暇活動の外出先選定プロセスのなかで特に重視しているものを示す。施設Aでは、先の実施理由と連動する形で、特に利用者の特性や負担程度も踏まえた新たな経験を提供できるかどうかに焦点を当てている。施設B、Dは利用者や家族の希望とともに、訪問先の施設、さらにサービス提供時間の制約といった面が重視されている。特に施設Bは権利としての「選択権」を重視しつつ、選定方法の工夫をされている。 表 4-6 外出を伴う余暇活動の外出先選定プロセスにおける重視事項 特に重視するもの 内容 施設A 新たな経験 ・重⼼の⽅は親御さんの思いもあって⼀般的な経験が少ない。そのため新しい経験ができることを重視している。(例えば、⽣⿂を⾷べるなど) ・最初は利⽤者が幼く、親が家事に費やす時間に散歩をするなどした。年齢が上がるにつれて、本⼈がどう楽しむかが重要になり買い物やイルミネーションを⾒にいくなど多様化していった。利⽤者の負担 ・純粋に能⼒は加齢とともに低下していく。若いうちは、イルミネーションやビアガーデンに⾏くなどもやっていけたが、加齢とともに、特に夜、寒さに対して厳しくなってきた。そのため⽇中をどう過ごすかに焦点を当てるようになってきている。 ・外出の際のグループ分けは医療的ケアが少ない、若い世代のグループは、親亡きあとの⽣活も⾒据えながら様々な経験ができるような配慮をしている。例えば、2019年のおさかな市場は⽇帰り(⼣刻には帰宅)という形で実施したが、2020年に実施した伊勢のおかげ横丁への外出は⼣⾷まで含んだ形での外出としてみたり、同年のディズニーランドは宿泊を伴う形での外出を試みている。⼣⾷まで含んだ形であると薬を管理していく必要があるし、宿泊を伴う場合、⼊浴の対応など多様な⽣活の部分も⼊れるなど幅を広げている。また、他の医療的ケアが必要な利⽤者のグループについては、5年後には⽣存できていない場合などもある点も踏まえた検討をしている。将来設計などを踏まえた提案をしている。施設B 利⽤者の希望 5〜6年前に国連の権利条約を⽇本も批准したなかで、障がい者の権利をどう考えるかが⾮常に悩ましかった。本法⼈ではその定義を「選択肢が与えられていること」とし、その考えを最重視し、外出先や⾷事の提供を⾏うようにしている。具体的には、外出先の選定には、利⽤者の希望をアンケートで聞き、原則その中から最も希望の多いものなどを選択するようにしている。なお、過去に希望が通っていない利⽤者がいる場合、その意向を配慮するようなこともしている。重⼼の⽅は希望を⾔えない⼈もいる。また、そもそも⾏きたいところのイメージすらない(例えば⽔族館を知らない、など)場合もある。よって、アンケートも基本はご家族の⽅の希望が反映される。施設のキャパシティ 最も希望が多い箇所であっても、本当に利⽤者が楽しめるかどうか、⾷事や排せつ施設のキャパが問題ないかなどがクリアされたところでないと選定されない。
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