重度障がい者の外出を伴う余暇活動の企画・実行プロセスと交通配慮事項に関する研究
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23外出を伴う余暇活動の実施の理由(動機) 表 4-5に外出を伴う余暇活動の実施の理由(動機)を示す。施設によって様々であり、施設Aでは特に利用者の寿命の短さなどの面を踏まえた多くの経験の提供、施設Bは利用者の社会や地域との繋がり創出および地域理解の深化、施設Cは家族側での対応の困難さが当該活動の実施動機になっている。 表 4-5 外出を伴う余暇活動の実施の理由(動機) 実施の理由・動機 施設A ・重⼼の⽅は健常の⽅の⽣きられる年齢の半分程度であることが多い。いつまで⽣きられるか、いつまで元気に暮らせるかが極めてシビアである。それゆえ、若い世代にどれだけ多くの経験ができるか、今だからこそやらなければならないことがある。これは理事⻑の思いでもあるし、職員もその思いが伝搬している。 施設B ・当時の施設⻑(理事⻑の娘)が構想した「夢企画」(1年に1度、利⽤者の希望を叶える)で⾏きたいところに外出するという「夢」を叶えるという取り組みが始まったことによる。 ・利⽤者が社会に関わる⼿助けをするため。国としても最近は社会とのかかわりを積極的に増やす⽣活を推奨しており、地域や社会とのかかわりを作りだすうえで外出は必須である。散歩や買い物で地域に出ることは、地域の⽅の⽬という点からも重要である。利⽤者が外出をしなければ、地域の⽅はこの施設に通われている⼈がどういう⼈かわからないし、何をしているかもわからない。地域とのつながりや理解を深めていくという点からも普段から外出をしていくということはとても重要である。 施設D 開設当時、利⽤者の家族が「外出」を取り⼊れるようなことが難しかった。重⼼の⽅の場合、⾞いすでの移動となるが、現在のようなリフト付き⾞両が⼀般的でなく、家族で出かけるというのが難しい状況だった。このようななかで外出の機会をつくりたいという思いが施設側であり、実施に⾄ったと聞いている。

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