重度障がい者の外出を伴う余暇活動の企画・実行プロセスと交通配慮事項に関する研究
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19「外出を伴う余暇活動」の計画・実⾏プロセスとその課題の把握 生活介護事業所による外出を伴う余暇活動の実態から、特に重心者が参加する場合の計画・実行における配慮事項の特徴的傾向が整理された。他方で、重心者の参加を前提とした当該活動の実施に至るプロセスの理解や、さらに重心者が参加することで生じる特徴的な課題についての理解も十分とはいえない。 生活介護事業所において外出を伴う余暇活動が実施されるまでには、事業所ごとに多様なプロセスを経ることになると予想されるが、ここでは、大枠で捉えると概ね以下の流れになるものと仮定する。 (1)「動機」の創出プロセス:当該活動の実施意図が作り出される段階 (2)計画プロセス:その実現に向けて進められる準備の段階 (3)実行プロセス:外出を伴う余暇活動を実行する段階 ここでは、計画、実行プロセスの前に「動機」のプロセスを仮定しているが、これは、そもそも各事業所がどのような「意図」をもって当該活動を実施しているかの理解が、その活動の全体像、を俯瞰する上で重要ではないかと考えたためである。以下では、外出を伴う余暇活動に重心者が参加された事業所に対する追加調査を通じて、重心者の参加を前提とした当該活動の実施に至るプロセス及び、それを踏まえた重心者が参加することで生じる特徴的な課題、さらに事業所が行う当該活動の効果の明示を試みる。 4-1.⽅法 調査対象は、表 4-1に示すように、重心者の利用者割合が高く、外出を伴う余暇活動に重心者が参加したと回答された、施設A、B、Dである。いずれの施設も通所型である。利用人数は施設Aが17名(重心者比率41.2%)、施設B(重心者比率38.7%)、D(重心者比率29.0%)は60名以上と施設AはB、Dと比べ小規模である。他方で利用者数に対する職員数の比は、施設Aが1.0と、利用者と職員の比率が1:1となっているのに対し、施設B、Dはそれぞれ2.1とおおよそ利用者と職員の比率が2:1となっている。重心者の介護において重要となる職員の看護師比率はいずれの施設も10%程度となっている。調査概要を表 4-2に示す。調査は、重心者の外出を伴う余暇活動についてより詳細な実態を把握することから、半構造化インタビュー形式を採用した。コロナ禍の関係もあり、直接訪問は困難な事業所が見られたことから、対面でのインタビューに加え、電話もしくはインターネット会議形式による調査を実施した。事前に用意した調査項目は外出を伴う余暇活動への参加状況の詳細とともに、先に整理した「動機」「計画」「実行」それぞれのプロセス、さらに当該活動を実施するにあたっての課題、など10項目である。インタビュー対応者は上述のアンケートを回答いただいた方に依頼した。

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