8と、外出の際の介助者の負荷も大きく、特に吸引や酸素利用者の医療的ケアの内容や、介助者の経験等が介助者自身の負荷に影響を与えていることがわかる。 2-3.移動⽀援の制度的枠組み 障害者の移動においてはその支援の在り方が外出そのものを促進させるうえでも重要である。ここでは余暇活動の観点からの移動支援における制度的枠組みについて俯瞰しつつ、その実態について既往研究から整理する。 障害者自立支援法において、サービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されている13。移動支援事業は地域生活支援事業の中に位置付けられている。制度上の趣旨や人員・財源の制約などから「障害福祉サービス」による個別給付は「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」は対象外としている14。他方、地域生活支援事業は社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際に利用できる。地域生活支援事業は市町村の裁量が大きく許されるが、そのため地域特性を活かすことが可能となる一方で、地域格差が拡大する危険性も併せ持つ15。 重心者に限ったものではない整理ではあるものの、障害者の移動支援の枠組みに関する実態について幾つかの有益な知見が整理されている。相馬ら16は、市町村アンケート調査(全国、郵送)、事業所アンケート調査(417事業所、11都道府県、14市、郵送)、事業所ヒアリング調査(11事業所)を通じて、障害者自立支援法で、地域生活支援事業として位置付けられた移動支援事業の実態を把握した。結果、移動支援事業には地域格差が存在すること、障害児に対象を限定した場合、移動支援は日中一時支援や児童デイサービスの代替補完の役割を担っていること、移動支援を利用している人は60歳以上の人も存在しており介護保険サービス代替補完の役割を担っていること、移動支援事業所では従業者不足が大きな課題となっていることが明示されている。特に、 13 厚生労働省, 障害福祉サービスについて, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html, 2021.2.19最終閲覧 14 厚生労働省(2015)障害者等の移動支援について, 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ, 第6回, 資料1, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000076424.html, 2021.2.19最終閲覧 15 新井仁子(2016)障害福祉サービスから介護保険に切り替わる際の現状と課題, ノーマライゼーション 障害者の福祉, 2016年7月号 16 相馬大祐, 志賀利一, 村岡美幸, 森地徹, 田中正博(2011)知的障害者・精神障害者が利用する移動支援における課題と重度の知的障害者・精神障害者が在宅生活を快適に暮らすために必要なサービスについての調査・研究(その1)障害児者が利用する移動支援事業の実態に関する研究, 国立のぞみの園紀要,第4号, pp.26-35
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