次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
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11.はじめに 1-1.研究の背景と目的 駆動用バッテリー等を搭載している次世代自動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車)には、複数の電化製品を同時に使用できる100Vコンセントをメーカーオプション等で装備できるものがあり、災害時の非常用電源として活用が期待されている。豊田市においても、ハイブリッド車に100V(1,500W)コンセントを取り付けるメーカーオプションに対して補助金を支給している。 ただし、災害時の有用性に関しては、様々な意見があり、どのような災害の状況・場面で、どんな活用ができるのか等の具体的な整理は行われていない状況である。一方で、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、これまで日本では起こらないとされていたブラックアウトが北海道全域で発生した。インターネットのWEB掲示板では、停電時、次世代自動車をどのように活用したのかに関して多くの書き込みがあり、情報共有されている。 そこで、本研究では、今後の災害での次世代自動車の活用や備えのあり方を提案することを目的として、以下のことを実施した。 ・北海道胆振東部地震での次世代自動車活用やその後の対応に関するヒアリング ・WEB掲示板の情報に基づく大規模停電時の次世代自動車活用事例の整理 ・次世代自動車を保有する北海道地震被災者へのインターネットアンケート調査 1-2.電動車両の電源供給について はじめに、本研究で前提となる電動車両からの電源供給について情報を整理する。なお、本研究では、電動車両を、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHVまたはPHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)とし、家庭で保有される乗用車を対象とする。 (1)電動車両からの給電パターン 図 1-1に、電動車両の給電パターンを示す。給電パターンは大きく3つに分けることができる。パターン①は、車内にAC100Vコンセントを搭載するパターンであり、電動車両の駆動用バッテリーの電気をAC100Vに変換する装置が車内に設置されている。最大出力は1,500Wまでとなっている。パターン②は、車外にV2L給電器(外部給電装置)を設置するパターンであり、電動車両の充電ポートから、最大出力4.5~9.0kWの電気を取り出すことができる。パターン③は、建屋にV2H給電器を設置し、建物の内部に直接給電できるパターンであり、最大出力は6~9kWの電気を取り出すことができる。

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