485.まとめ 近年、日本列島では、地震や台風等の自然災害による停電が起きており、電気に依存する情報化社会となっていることを踏まえると、停電に対する備えが急務となっている。 停電災害時に、個人レベルで、電気を必要とする用途のうち最も必要性が高いのは、スマートフォンやタブレットの充電であり、自助のための様々な備えが考えられる。電動車両に搭載された100V電源(コンセント)も備えの一つであり、自治体による電源搭載の補助金支給施策は、自助力を高め、結果として自治全体の災害対応力の向上に寄与していると考えられる。一方で、車両の活用という観点では、100V電源以外にも、12Vアクセサリーソケットからスマートフォンを充電するアダプタや、DC12V-AC100Vインバーターの保有率を上げることも、災害対応力の向上につながると考えられる。 また、100V電源を搭載した電動車両を保有していても、使い方がわからず停電災害時に活用されない事例もあったことから、補助金申請時に、保有者に利用方法を習得させる機会を設けることも自助力の向上に有効であると考えられる。また、延長コードで自宅建物内に電気を引き込む以外の方法(車内での使用やポータブル電源の活用等)も保有者が想定しておくことを促すことも有効であると考えられる。 さらに、これまで、100V電源を搭載した電動車両を保有していなかった人たちが、車両買い換え時に、100V電源を搭載した電動車両を選択することが想定される。その際、「防災意識全般を高めること」、「日常の100Vコンセントの利用シーンを提案すること」が、100V電源搭載車両の選択を増やすことにつながると考えられる。 一方で、自治体の災害対応として、電動車両を電源車と活用する取り組みも広がってきている。代表的な取り組みは、地元の自動車販売会社等と自治体が防災協定を締結し、災害発生時に、電動車両を避難所等で電源車として提供するというものである。また、避難所等の建物内に、電動車両から電源を受け入れる設備を設置している取り組みもみられる。このような取り組みが広がることは望ましいことであるが、様々な被害規模や被災状況があり得る中で、有効に機能する仕組みを構築しておくことが必要であると考える。
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