次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
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464-4.結果の考察 2018年9月に発生した北海道胆振東部地震で発生したブラックアウトにおいて、電動車両に搭載されたコンセント(100V(容量1,500W)の電源)が、どの程度の割合で活用されていたのかを調査した結果、保有世帯の約7割で、何らかの電化製品に使用していたことを明らかにした。 使用用途は多岐にわたっていたが、最も使用されていた用途は「携帯電話・スマートフォンの充電」であり、保有世帯の58.2%を占めていた。続いて「タブレット・ノートパソコンの充電」が28.4%と多かった。一方、飲食に関連する「炊飯器」や「電気ポット・電気ケルト」の使用割合は、それぞれ、13.4%、11.9%と、10%台前半であり、それ以外の電化製品の使用割合は10%以下であった。必ず電源を必要とするスマートフォンやタブレット等の情報端末が広く普及し、生活に欠かせない存在となっていることが反映された結果であると考えられる。 活用できた要因としては、利用者の65%から「電動車両の100V電源を使うための操作方法を知っていたこと」があげられ、事前の使用経験が重要であると考えられる。また、活用できなかった要因としては、「電源を必要としなかった」に続いて、「延長コード等で電動車両から自宅内に電気を引き込むのが難しかった」があげられ、延長コードを用いた方法以外の使用方法を想定しておくことも必要であると考えられる。実際の電源の使用方法として、活用できた回答者では、延長コードを用いて電気を自宅建物内に引き込んで利用した割合は39.1%であり、車内で電化製品を利用(52.2%)したり、ポータブル電源に充電して使用(21.7%)したりと、多様な使用方法が確認されている。 電源(コンセント)の使用用途が、スマートフォンやタブレットの充電など、電動車両ではない車両でも12Vアクセサリー電源を用いて実施できる用途であったにもかかわらず、車両に搭載された100V電源は、100V電源を搭載する車両の保有者から、高い評価を得ていた。停電時でも日常通りの生活ができるといった過度な期待を持つのではなく、様々な防災対策のうちの1つであり、実際に、必要なスマートフォンやタブレットの充電ができたことで有用性を実感できていると考えられる。 また、100V電源搭載車両の保有者には、以下の特徴がみられた。 ・非保有者に比べて、44歳以下の年齢層の割合が高い。 ・非保有者に比べて、世帯年収800万円以上の割合が高い。 ・非保有者に比べて、年に1回以上、キャンプや車中泊を行う割合が高い。 ・非保有者に比べて、日常の災害への備え(防災バックの常備・家具の転倒防止対策・非常用トイレの常備)を実施している割合が高い。 ・非保有者に比べて、停電災害以前から、エンジン式の発電機やポータブル電源(AC100V出力のあるもの)を保有していた割合が高い。 ・非保有者に比べて、ブラックアウト時に、何らかの方法で「お米を炊く」、「洗濯をする」、

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