次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
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11(3)北海道 環境生活部 環境局 気候変動対策課 海道胆振東部地震と、その後のブラックアウトにおいて、北海道で次世代自動車が電源供給車両としてどのように活用されたのか等についてヒアリングを行い、下記の情報を得た。 1.北海道胆振東部地震での次世代自動車の活用 ・札幌市役所本庁舎では、本庁舎の非常用発電機と合わせて、公用車FCVを活用して携帯電話の充電サービスを行った。非常用発電機からの給電分も含めて、2日間で2,000人が利用した。 ・室蘭市の自主避難所「サンライフ室蘭」では、震災前の2018年6月に、FCVの電力を館内に供給するための外部給電器・電気設備を整備しており、停電時の約20時間にわたって、避難所に給電を行った。 ・サンライフ室蘭には32世帯56名が自主避難していたほか、市民からの要望により携帯電話・スマートフォンの充電に対応した。ただし、利用人数はあまり多くなかった。・室蘭市は、道内第1号の水素ステーションを設置し、室蘭市役所で2台(トヨタのミライとホンダのクラリティ)のFCVを保有する等、市長のトップダウンでFCVの普及に力を入れている。 ・北海道庁本庁舎においても、非常用電源を用いて、市民や旅行者のスマートフォン充電等に対応したが、当時、外部給電装置を所有していなかったため、FCVからの給電は実施しなかった。 2.北海道のFCV・水素ステーション普及状況 ・令和元年10月末時点で、北海道では18台のFCVが保有されている。その内訳としては、北海道、市町といった自治体で6台(うち1台はクラリティ)保有しており、その他の多くは企業である。個人所有は札幌の1台のみである。 ・水素ステーションは道内に3ヶ所あり、札幌市と室蘭市に移動式ステーションが、鹿追町に環境省実証実験ステーションがある。札幌では水素製造にソーダ工場で発生する副生水素、室蘭では風力発電の電力を用いた電気分解で得られた水素、鹿追町では牛糞のメタン発酵から生成した水素を利用しており、温室効果ガスの排出を削減できる方式となっている。 3.震災後の北海道でのFCV普及の取り組み ・北海道庁では、FCV車両に加えて、容量9kWh(市販で最大)の外部給電装置を購入した。 ・また、水素燃料電池キャラバンと銘打って、道内自治体と協力しながら、FCVの普及をPRしている。環境面からのPRのみでは市民の反応はいまひとつであるが、外部給電

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