292-5.小括 警報型後付け安全運転支援の⾧期的な効果を検証するために2019年6月初め頃~9月末頃にかけておよそ5か月間の実証実験を行った。また、警報型後付け安全運転支援による急減速回数の減少に影響を及ぼす要因の分析を行った。本取り組みによって得られた主な知見を以降に整理する。 警報回数の変化をとらえられるMEのデータを用いて⾧期的な運転行動の変化を分析した結果、警報OFFの期間に比べて、警報開始後の期間の警報回数が減少する傾向が、すべての参加者で認められた。これらの結果から、MEの利用者では装置により、短期的にも⾧期的にも警報回数を減らすという運転行動の変化をもたらす効果が認められた。 MEを含むELやDDなどすべての装置による⾧期的な効果を分析した結果、急減速回数が⾧期的に右肩下がりであるか、急減速回数の平均値の変動が大きくとも急減速回数が警報OFFの期間よりも減少している人の方が多いことが確認できた。これらの結果から、個人差はあるものの、装置を利用することで短期的にも⾧期的にも、高齢運転者の急減速回数を減らす効果が確認できた。 意識の違いについては、警報を無視していない人のほうが、無視している人よりも警報開始前と比べて警報開始後の急減速回数が減る人の割合が多い結果となった。しかし、警報が鳴らないように配慮しているかどうかの違いについては、明確な差は認められなかった。 沿道環境の違いが急減速回数の減少に与える影響に関する分析の結果、土地利用、市街化の状況、車道幅員によって傾向が異なる結果が得らえた。例えば、建物用地は車道幅員5.5m以上であれば急減速回数が減少する傾向にあるが5.5m未満では増加する傾向にある。また、農用地は市街化の状況に関わらず急減速回数が増加する傾向にある。今回の分析から沿道環境が及ぼす影響の一端を把握できたが、詳細に分析するためにはより多くのデータを蓄積していくことが求められる。 急減速が特に多く発生する箇所の特徴を調査した結果、無信号交差点、カーブ、勾配、見通し不良などの特徴を抽出することができた。
元のページ ../index.html#35