高齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
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22 (4)個人の意識の違い さらに個人の意識の違いに着目する。警報を無視しているか否かでは、無視していない人の方が、期間1以降の全ての期間で急減速回数が減少する人の割合が多くなる(表2-15)。それぞれの距離当たりの急減速回数をみると、警報を無視する人よりも無視していない人のほうが大きな値となっている(表2-16)。期間0と比べた期間3にかけての急減速回数の変化量は、無視している人(+0.02回/km、11%増)よりも無視していない人(-0.07回/km、27%減)の減少幅の方が大きい。警報を無視することなく運転することで、より大きな運転行動変化をもたらす。 警報が鳴らないように配慮しているか否かでは、期間1や期間2では警報が鳴らないように配慮する人のほうが期間1以降の急減速回数が減少する人の割合が多いが、期間3では配慮する人としない人の両方で75%と同じ値である(表2-15)。また、距離あたりの急減速回数は期間0や期間3では両者の差はほとんど見られない。今回の実験からは、警報が鳴らないように配慮するかどうかで、急減速回数やその変化の差を認めることはできない。 (5)沿道状況や個人の意識の違いから見た分析のまとめ 以上より、警報型後付け安全装置による運転行動変化の効果は、沿道状況等の走行環境の違いや、高齢運転者の警報型後付け安全装置に対する意識の違いによって異なる場合があることが認められた。

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