202-4-4.沿道状況や個人の意識の違いから見た分析 (1)分析の考え方 前節の分析で、警報型後付け安全装置運転支援装置の運転行動変化に与える効果について全体的な傾向を把握した。しかし、その効果には走行する道路の環境の違いや、一回の運転ごとの走行距離、個人の意識の違いによって差があると考えられる。そこでここでは、これらについて分析を行う。ここでの分析は、より多くの被験者のデータがある1回目の参加者に限定して行う。 走行する道路の環境の違いによる差を分析するため、市街化が進み建物が密集している地域が多い市街化区域と、市街化区域外の2地域に分類する。地域の分類はロガーから得られる緯度経度データを用いて行う。(次節においては、より詳細な沿道状況の違いを考慮した分析を行う。) 一回の運転ごとの走行距離は、本研究ではエンジンOnからOffまでを一回の運転とし、その間に走行した距離を意味する。以降、一運転あたり走行距離という。これに着目する理由は、走行距離が⾧いと疲労により警報の効果が薄れる可能性が考えられたためである。一運転あたり走行距離は、分析対象者の実態を踏まえ、区分する走行距離ごとに運転回数が概ね等しくなるように配慮して、1.5km未満、3.0km未満、3.0km以上の3区分とする。 個人の意識の違いは、参加者へのアンケート調査の結果を用いて分類する。ここでは、運転行動変化に関係が深いと考えられる「警報を無視していたか」と「警報が鳴らないように配慮して運転していたか」の結果を用いて分類した。アンケートでは問に対して1から5までの5段階で回答する5件法により質問している。3の回答は「どちらでもない」を表すことから、問に対して肯定側の選択肢である4または5を回答した場合、各項目に該当する回答者として取り扱う。この方法で分類した結果、警報を無視している人は5人(それ以外7人)、警報が鳴らないように配慮している人は4人(それ以外8人)に分類された。
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