5 3.交差点空間における高齢運転者の空間認知特性の把握 2018年度に構築した事故予測モデルから,特に高齢運転者が出合い頭事故の加害者になりやすい無信号交差点を選定し,当該空間のVR(ヴァーチャル・リアリティ)映像を作成し,当該VRによる交差点通過時の注視挙動の傾向をアイトラッキング技術を活用することで把握する. 3-1.方法 3-1-1.対象交差点の選定 2018年度に構築した事故予測モデルを用い,特に高齢運転者が出合い頭事故の加害者になりやすい無信号交差点を選定する.選定に際して,高齢運転者による事故が多いことは重要である一方,高齢運転者が苦手とする特徴を捉えようとするのであれば,一般(64歳以下)運転者による事故も同様に多い箇所を選定してしまうと,傾向が不鮮明になる可能性がある.よって,高齢運転者による事故が多く,一般によるものが比較的少ない箇所を以下の方法を用いて選定した. ・特に身体機能の低下等により交通事故の危険性が指摘される後期高齢者に着眼し,後期高齢者が加害者となる無信号交差点出会い頭事故予測モデル(後期高齢モデル)において推定された事故件数が上位20位以内であること ・64歳以下が加害者となる無信号交差点出会い頭事故予測モデル(一般モデル)において推定された事故件数が平均以下であること 結果を表3.2に示す.本モデルは男女別に件数を推定するものとなっているが,それぞれ6箇所ずつの合計12箇所が選定された.このうち,既往対策の実施状況(空間認知特性に影響を与えることが予想されるカラー舗装などの対策が実施されていない),およびVR映像作成の容易性(周辺交通状況から安全に必要な映像が構築しやすい)を踏まえ,対象を2箇所に絞り込んだ.結果を図3.1に示す. 男性7位の交差点(OBJECTID=132049)は,名古屋市中区小塚町に所在する4差路交差点であり,従方向道路が鋭角/鈍角に接続する.従方向道路は中央線のない双方向通行で狭車道幅員(5m)である.歩道は整備されていない.いずれも一時停止の道路標識と路面表示が設定されている.主方向道路は,150m北部で接続する県道29号が分離
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