空間認知特性に着眼した高齢運転者が加害者となる出会い頭事故対策に関する応用的研究
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27 がわかる.推定値の符号は映像間で異なっており,映像A及びEでは,「棒反応時間」の値が大きい,すなわち柔軟性が低いほど視線移動距離が少なく,映像Bでは逆に多くなっている.この理由について,映像A及びEと映像Bの「棒反応時間」と「視線移動距離」の単相関を見たところ,映像Bは,映像A及びEに比べ両群の単相関の値が低く,モデル化に際して符号の逆転現象が生じた可能性が示唆される.(映像A:R=0.60(徐行中),映像B:R=0.07(徐行前),-0.07(徐行中),映像E:R=-0.47(停止線から隅切り))よって,映像Bの結果の解釈には留意が必要であるといえよう. 表 3.6 視線移動距離の要因分析(映像A) A 徐行前 徐行中 停止中 停止線から隅切り 交差点進入後 定数項 829.09 * 1539.72 ** 892.11 *** 347.19 * 695.96 *** 個人属性 男性ダミー - - -137.41 * - - - - - - 高齢ダミー - - - - - - -186.70 * -83.52 + 視力 静止視力(両眼平均) - - - - - - - - -84.12 視野角(両眼) -2.96 -4.90 - - - - - - 柔軟性 長座体前屈 - - - - - - - - -2.39 MMD -2.39 - - - - - - -2.58 平衡性 開眼片足立ち - - 1.47 + - - - - - - 敏捷性 ステッピングテスト(片足) - - 6.51 - - 8.21 * -3.02 棒反応時間 -4.17 -18.66 ** -16.15 * - - -4.74 サンプル数 31 調整済み決定係数 0.09 0.56 0.11 0.38 0.14 ***:p<0.001, **:p<0.01, *:p<0.05, +:p<0.1 表 3.7 視線移動距離の要因分析(映像B) B 徐行前 徐行中 停止中 停止線から隅切り 交差点進入後 定数項 -669.17 ** 135.87 274.80 -862.99 352.87 *** 個人属性 男性ダミー - - -114.14 267.33 ** -149.46 121.64 * 高齢ダミー - - - - -232.51 * - - - - 視力 静止視力(両眼平均) - - -217.50 300.42 + - - - - 視野角(両眼) 4.19 ** - - - - 7.61 - - 柔軟性 長座体前屈 - - -6.57 + - - - - - - MMD - - - - -5.42 - - -5.75 ** 平衡性 開眼片足立ち 0.70 * 3.04 ** - - 1.60 - - 敏捷性 ステッピングテスト(片足) 4.22 * 11.49 * - - - - - - 棒反応時間 7.92 ** 10.92 + - - 13.29 - - サンプル数 30 調整済み決定係数 0.49 0.41 0.50 0.13 0.25 ***:p<0.001, **:p<0.01, *:p<0.05, +:p<0.1

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