農地転用動向によるスプロール地域の分析と評価に関する研究
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4 1-3-2.豊田市の農地保全に関する行政計画の整理 (1)第3次豊田市農業基本計画7 豊田市は、農業者が依然として減少や生産量が減っている農産物もあることに加え、自然環境の保全や水資源涵養などの多面的機能を有する農地の適切な管理についても懸選される地域もある。このような状況を踏まえ、農業の維持発展を目的に、「第3次豊田市農業基本計画」を平成29年4月に策定している。 本計画は、「地域特性に応じた産業型農業の推進」、「地域が支える“食と農”の推進」の2つの主要施策を掲げている。「地域特性に応じた産業型農業の推進」では、農業就業人口や経営耕地面積の減少などの課題から、経営者への支援や鳥獣害による被害額の減少などを目的としている。「地域が支える“食と農”の推進」では、地産地食の理解推進や市民農園の拡大、初心者への研修会の開催などを事業として組み込んでいる。 (2)農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想8 本構想は、豊田市の農業構造及び各地区における基本的方向や農業経営の目標について記載されている。例えば、豊田地区の農業構造及び基本的方向は以下の通りである。 (3)農地バンク制度9 本制度は平成23年から実施されており、農地の所有者が管理できなくなった農地を登録し、借りたい方へ紹介して利用してもらうための制度であり、2014年から全都道府県に設置された。なお、正式名称は「農地中間管理機構」である。 7 豊田市産業部農政課(2017):第3次豊田市農業基本計画 市民が守り育てる『とよたの農』、 8 豊田市産業部農政課(2017):豊田市の農業経営基盤の強化の促進に関する基本的構想 9 豊田市HP、URL:https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/nougyou/nougyou/1003903.html、2020年3月25日閲覧 中心市街地近郊の豊田地区は、矢作川右岸が挙母地区、左岸が高橋地区であり、いずれも混在化が進んでいる。高橋地区の矢作川沿いでは平坦な優良農地が広がり、水稲を中心とした営農が展開されており、農地所有適確法人を中心に農地の利用集積が行われている。今後も農地の集団的利用を推進するとともに受託部会を育成し、地域の担い手を確保する。その他の地域においては、都市化の激しい中、野菜、園芸、酪農、養鶏といった生産意欲の高い農家が存在することから生産性の向上を図り、農業の振興に努める。

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