40 5.おわりに 本研究では、豊田市を対象とし、農地転用動向を整理した上で、市街化調整区域内の農地転用を目的変数とした要因分析を行い、開発されやすい市街化調整区域の特徴について把握した。以下に得られた主な知見を整理する。 〇農地転用動向について 農地転用は4条転用よりも5条転用の件数が多く、届出件数よりも許可件数が多い。4条農地転用と5条農地転用の比率をみると、届出申請よりも許可申請の方が件数の差が顕著であることから、特に市街化区域外において土地所有者の移転を伴う農地転用が多いことが指摘できる。 また、住宅を目的とした農地転用件数が最も多く、8,880件/10年であった。住宅や駐車場は4条よりも5条での転用が多く、特に駐車場を目的とした農地転用は5条許可での農地転用が突出して多いことから、市街化区域外の農地を駐車場に転用する際に、土地の所有者も変更している事例が多いことが読み取れる。 ○要因分析結果について 農用地区域面積割合が高いほど、農地転用が起きにくい結果となっており、制度と合った結果となっている。 また、駅・バス停・幼稚園・大学・診療所・老人福祉施設・支所までの距離が近いほど、農地転用が起きている結果となっている一方、市役所・市街化区域までの距離が近いほど、農地転用が起きにくい結果となっている。このことから、豊田市では、市街化区域縁辺部の滲みだしによる都市の広域化よりも、利便性の高い地域での都市開発がされやすい都市構造であることが考えられる。 ○農地転用推定値の高い地域の特徴について 市街化区域縁辺部では農地転用推定値が高く、郊外になるにつれて農地転用推定値が低くなる傾向にあることが分かる。また、北部と南西部において、農地転用推定値が高い地域が密集している。農地転用推定値の高い地域は、都市計画道路の沿線や市街化区域に囲まれた地域であり、今後開発される可能性の高いと思われる。農用地区域によって優良な農地は保全されているが、小規模な農地であっても農用地区域指定することで、開発を未然に防ぐことが重要かもしれない。
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