2019年度 自主研究概要 報告者: 坪井志朗 研究分野 1暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心業務類型 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 農地転用動向によるスプロール地域の分析と評価に関する研究 研究の背景・内容 ・近年、中小都市において、モータリゼーションの発達やロードサイドショップの立地により、都市のスプロール化、中心市街地の空洞化、人口の低密度化・広域化等による財政負担の増加、CO2排出量の増加等といった問題が懸念されている。 ・また、豊田市行政計画では、2030年まで人口増加を想定し、立地適正化計画では人口増加の受け皿として市街化調整区域の鉄道駅周辺を新市街地区域として設定しており、今後も都市の拡大が予想される。 ・郊外開発によって、生活利便性が向上する市民もいる一方、農地の減少や中心市街地の空洞化に拍車をかけることになり、持続可能な都市構造を構築する上で、都市の郊外化を未然に防ぐことは必要不可欠な項目である。 ・本研究では、豊田市の土地利用状況の整理、農地転用動向の整理を行い、現況について把握した上で、市街化調整区域の農地転用に影響を与える要因について分析し、農地転用が起こる可能性が高い地域について把握する。 研究結果・ 得られた知見等 土地利用状況の推移 ・市街化区域内の「建物用地」は増加傾向であったが、2006年以降は横ばい傾向、市街化調整区域では2006年を境に、「田」の減少傾向、「建物用地」の増加傾向が顕著になっており、市街化区域内の開発が一定まで進んだことで、市街化調整区域の開発に移行したと考えられる。 農地転用動向の把握 ・農地転用動向を整理し、その特徴を把握した。住宅立地を目的とした市街化調整区域での農地転用では、4条許可(自らが農地を農地以外にする農地転用)よりも5条許可(農地を農地以外にする際に権利の移転を伴う農地転用)が多く、特に分家住宅の立地を目的とした農地転用が多い。 住宅立地を目的とした農地転用の要因分析 ・農地転用件数を目的変数とした負の二項回帰分析を行い、農地転用に影響を与えている要因の把握や農地転用が起こる可能性が高い地域を可視化した。農地転用の特徴として、市街化区域縁辺部から徐々に都市が広域化するのではなく、市街化調整区域内にある駅や拠点周辺から開発が広がっていくことが推測される。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む・農地転用が起こる可能性が高い地域について、農地転用を防ぐ観点と農地転用を許容する観点から、今後の対策について考察した。 ・農地転用が起こる可能性が低い地域にも関わらず、多くの農地転用が起こっている地域について、その背景や原因について考察した。 所内の担当者氏名・ 担当者 坪井志朗 協力先名 豊田工業高等専門学校 佐藤雄哉准教授、佐藤真寛氏(共同研究) 豊田市農政課(農地転用データの提供) 農林水産省(農地テータの提供) 問題点・課題・今後の研究予定・その他 ・本研究では、住宅立地を目的とした農地転用について分析を行っているが、市街化調整区域の開発が進行する場合、商業施設や駐車場などが先行もしくは付随して開発されることから、それらを加味した分析・検討を行う必要がある。 ・今後、市街化調整区域の開発が進行することが予測される地域において、地域ごとに農地を保全するべきなのか、開発を許容するべきなのかを意思決定する必要がある。 関連論文(2019年度)愛知県豊田市における農地転用動向から見たスプロール地域の特徴:日本建築学会東海支部研究報告集、第58号、pp.513-516、2020年2月
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