豊田市都心における来訪者の回遊状況評価手法の開発
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667.おわりに 7-1.本研究で得られた知見 本研究で得られた主な知見を以下に整理する。 歩行者量とWPSデータの比較から、歩行者量が著しく大きい場合でもWPSの値は上限値に漸近するのではなく緩やかに増加し続ける傾向にあることが確認できた。 WPSデータの基礎的な分析からは、来訪者の量、来訪者の流動、来訪者の滞在時間が把握できることが確認できた。しかし、流動や滞在時間については、実態と比較した検証ができていないため、時系列で比較するなど相対的な比較に留めることが望ましい。 歩行者通行量を常時観測するパロッシーのデータから、WPSの地点間流動を推計するモデル式を構築できた。ただし、都心全体を面的に推計するモデルとなっていない。ため、WPSから都心全体のOD表を得るための方法論を構築する必要があるなど、様々な問題に取り組む必要がある。 WPSのデータを用いて、ラグビーワールドカップの試合開催時の来訪者の状況や、新型コロナウィルス感染拡大による来訪者の変化の分析を行った。これらの分析を通じて、WPSのデータを用いることで豊田市都心の人の動きの状況を把握できることを確認した。 7-2.今後の課題 今後の課題として以下のことがあげられる。 本研究で設置したWPSは次年度も継続して活用し、人の動きの把握に活用する方針である。WPSで得た情報を活用し、まちづくりへの活用をさらに広げるための分析手法や分析ツールの整備が課題である。 また、今年度のWPSの設置箇所は沿道など道路空間が多く、具体的な来訪施設が把握できていない。施設管理者の理解や協力を得ながら、設置箇所を増やしていくことが求められる。

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