595-4.分析結果 分析結果を表 5-2に示す。 「平日」「休日(イベントのない土日)」「大規模イベント時」それぞれで推定した結果、調整済み決定係数が0.7前後となり、まずまずの精度の結果が得られた。各変数をみると、距離(単位はm)のパラメータと比較して発生量及び集中量のパラメータの値が小さい。パロッシーの歩行者通行量が大きくなってもWPSのアドレス数が十分に追従できないことは先に述べた。この関係がパラメータにも表れているものと考えられる。ただし、各変数のt値は十分に大きく、取り入れた変数が推計値に十分に影響していると言える。 決定係数が大規模イベント時で比較的高く、平日や休日でやや低いのは、大規模イベント時の方が数値のレンジが広い(最大値と最小値の差が大きい)ことや、特に平日ではサンプル数が多いために様々な要因の影響を受けていることが影響していると考えられる。 今回の分析結果から、パロッシーのデータを用いることで今回推計対象とした範囲内で、都心内の歩行者の流動を推計可能であることが確認できた。今後、MACアドレスのランダマイズ化が進行した際のために、それまでにWPSのデータを蓄積し、パロッシーのデータから歩行者流動を推計するより良い方法を構築することが重要である。 その際に残されている課題について述べる。まず、今回のモデルは特定OD間の流動を推計するにとどまっており、都心全体を面的に推計するモデルとなっていない。例えば、A01からA03に向かう流動はある程度の精度で推計できるが、A03からA06の流動は推計できないモデルである。この課題を解決するには、WPSから都心全体のOD表を得るための方法論を構築する必要があるなど、様々な問題に取り組む必要がある。 表 5-2 重力モデルの分析結果 平日休日イベント時推定値t値判定推定値t値判定推定値t値判定定数項k9.23064.42***9.45245.9***8.55022.17***発生量α0.25758.05***0.24437.74***0.25921.90***集中量β0.23052.04***0.25137.56***0.26921.96***距離γ-1.444-62.5***-1.485-43.81***-1.349-21.87***調整済み決定係数0.68760.69490.7253サンプル数1205559821515
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