565.常時観測データを活用した地点間流動推計手法の開発 5-1.開発の狙い 前章で確認した通り、WPSデータは人の動きを様々な切り口で把握することができ、都心来訪者の活動を評価するなど様々な用途で有効に活用することができる。一方、個人情報保護の観点から、端末が固有に保有するMacアドレスのランダマイズ化が進んでいる。今後さらにランダマイズ化が進行すると、WPSを活用した調査が困難になる可能性がある。 豊田市では、2008年に歩行者通行量を常時観測するパロッシーが整備され、歩行者通行量のデータが蓄積されている。現在は20か所で運用中である。パロッシーが歩行者通行量を計測する方法はカメラ画像を活用しており今後も機能し続けると期待される。 パロッシーは地点毎の歩行者通行量を把握することは出来るが、WPSで把握できる、地点間の移動状況や滞在時間の情報は把握できない。WPSはより多くの情報を把握できるが、前述のとおり今後も活用できるか不透明な状況である。 パロッシーのデータから歩行者の流動などを推計することができれば、もしもWPSの調査が困難になっても、様々な視点から都心来訪者の活動評価を行うことができる。 そこでここでは、WPSで把握した地点間流動をパロッシーのデータから推計する手法を開発する。 5-2.分析手順 WPSとパロッシーデータの分析の手順を図5-2に示す。 なお、自動車交通の分野で行われている断面交通量からOD交通量を逆推定する方法はとらない。 WPSによるOD表の作成パロッシーによる断面歩行者通行量の時間変動(1h単位)隣接地点間の時間変動(1h単位)WPSとパロッシーデータの関係分析※特定地点間ペア、イベント有無など多様な条件下の関係を分析パロッシーデータからの歩行者流動推計手法の構築 図5-1 WPSとパロッシーデータの分析手順
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