豊田市都心における来訪者の回遊状況評価手法の開発
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554-11.基礎的な集計結果のまとめ 基礎的な集計結果から、WPSで取得するデータの特性や、都心の人の動きの実態を把握することができた。以下にその概要を整理する。 ■WPSと他のデータの比較 WPSのデータと他の統計データとの比較から、WPSデータは歩行者や駐車場利用台数、美術館入館者数の増減に対応して変動することが確認できた。ただし、急激な増加や減少を補足するには限界がある。 歩行者量とWPSデータの比較から、歩行者量が著しく大きい場合でもWPSの値は上限値に漸近するのではなく緩やかに増加し続ける傾向にあることが確認できた。 ■地点・日変動・時間変動に着目した分析 WPSのデータから、地点、日変動、時間変動の状況を把握できることを確認した。 地点の違いによる、大規模イベント時の変動の違いや、曜日別の時間帯別変動の違いなども確認できる。 2020年1月以降は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、WPSのアドレス数が緩やかに減少する傾向も確認できる。 ■移動に着目した分析 地点間の移動の状況や、ある地点を訪れた端末が他にどのような地点を訪れているのかについても確認できた。 近接するWPSの間で訪れる場合が多いだけでなく、豊田スタジアムなどの周辺施設との関係も把握することができた。 ■滞在時間に着目した分析 都心全体での滞在時間や、地点に着目した滞在時間の傾向を把握することができることを確認した。 ただし、今回の計算方法では中心市街地外へ通勤通学する人を除外できないなど、WPSデータの分析から把握した滞在時間が、実態を表しているのかは検証ができていない。PTデータとの比較等を通じて検証することが重要である。 ■WPSデータ利用上の留意点 WPSでは歩行者だけでなく自動車利用者やバス利用者の端末から発せられる信号を受信しており、分析する上で分離できていない。特に沿道に設置しているWPSでは、歩行者以外の端末からのデータが多く含まれている可能性がある。 WPSは付近を通過するWi-FiをONにしている端末を100%検知するわけではない。そのため複数地点の移動の分析結果は、個別地点のアドレス数に対して過小評価となっている可能性がある。滞在時間の集計についても同様である。 滞在時間については、前述のとおり検証ができていない。時系列の比較など、相対的な比較に留めることが望ましい。

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