39 6.おわりに 本研究では、都市将来像を人口分布と交通動向から推計したうえで、様々な将来都市構造を可視化できる「将来都市構造可視化シミュレーションツール」の開発を行った。以下に各章で得られた主な知見を整理する。 第2章 100mメッシュ将来推計人口分布の推計 ・豊田市行政計画の目標人口(420,000人:2040年)と国立社会保障・人口問題研究所(408,866人:2040年)が算出している将来推計人口とは、11,134人の差がある。 ・100mメッシュ将来推計人口を構築した結果、浄水駅周辺や五ケ丘団地では、人口密度が増加する地域があるものの、多くのメッシュでは将来推計人口が減少し、低密度なメッシュを有する都市構造となった。特に、都市計画区域外において、低密度なメッシュの増加が顕著であった。 ・人口密度の参考値として、中心市街地や特徴的な地域の人口密度を可視化した。人口密度の参考値を可視化することは、今後、どのような都市構造を目標とするか議論する際の参考となる。 第3章 100mメッシュ将来推計鉄道利用者数の推計 ・鉄道利用者数は2015年では54,923トリップであったのに対し、2040年推計では41,219トリップまで減少し、約75%減少した。 ・基本ゾーン別の鉄道利用者数をみると、鉄道利用者数が増加する地域もあるものの、多くの地域において、減少することが考えられる。 ・行政計画における鉄道利用者数の目標値は、2014年度で61,704人/日であるのに対し、2040年に75,000人/日と、約122%増加させることを目標としている。これをパーソントリップ調査の結果で補正すると、2015年の鉄道トリップ数が54,923トリップであるため、2040年の目標鉄道トリップ数は54,923×1.22=67,006トリップとなる。 第4章 将来都市構造検討シナリオの作成 ・本章では、土地区画整理事業シナリオ、立地適正化計画シナリオ、鉄道利用者数最大化シナリオの3種類にシナリオを設定した。 土地区画整理事業シナリオ ・土地区画整理事業+駅周辺シナリオは、現在施行中の土地区画整理事業内の人口増加をシナリオとして設定しているため、比較的現実的なシナリオを設定している。しかしながら、鉄道トリップ数は行政目標値には達していない。 立地適正化計画シナリオ
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