自転車の通行空間整備過渡期における道路政策のあり方に関する研究
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5 2.走行実態・意識の影響要因の把握(追加調査) 昨年度、自転車講習会を基に中学1年生、高校1年生を対象にアンケート調査、講習会前後の実態調査を実施した。その課題として、アンケートを講習会実施直後に実施したため、ルールを守ろうと思ったと回答した学生が多く、実際に車道上を通行したかどうか分からなかったこと、講習会は中学1年生、高校1年生を対象としているにも関わらず、実態調査では学年の判別ができず、講習会の効果を定量的に確認することができなかったこと等があった。本章では、全学年が講習会を受講している学校を対象とし、改めて自転車講習会の効果を確認する。 2-1.方法 愛知県豊田市において豊田市交通安全学習センターが毎年実施している中高生向けの自転車講習会に着目し、自転車講習会の概要や実施内容を整理した上で、自転車講習会実施後1週間以内にアンケート調査を実施し、自転車のルール認知度や遵守率の変化を把握するとともに、講習会前後の交通実態調査による自転車の通行位置の変化についても分析し、自転車講習会の効果とその課題について考察する。 2-2.対象校の選定 2-2-1.豊田市における自転車教育の概要 豊田市では、行政と学校が一体となって、自転車利用に関する活動を継続的に実施している4。 表 2-1に自転車の安全利用に関する啓発活動実績を示す。生徒と連携した立哨活動や安全な自転車利用の街頭啓発等、生徒や学校と協力して自転車の安全利用に関する啓発活動を行っている。 表 2-2に豊田市交通安全学習センターにおける自転車利用に関する講習実績を示す。豊田市交通安全学習センターは、幼児から高齢者まで各年齢層に応じた交通安全学習ができる施設であり、小学生・高齢者に対しては施設内での施設講習、中高生や企業等に対しては学校や会社へ赴いた出張講習を実施している5。豊田市内の小学4年生、中高1年生、高校1年生向けに毎年延べ100回以上、15,000人以上の児童・生徒に向けて、講習を実施しており、豊田市内の学校(小学校74校、中学校28校、高校16校6)の多くが豊田市交通安全学習センターによる講習を受講している。また、学校によっては指定学年だけでなく、全 4 豊田市:豊田快適自転車プラン~豊田市自転車利用環境整備計画~,2017 5 豊田市HP:交通安全学習センターHP、2019.10.1に閲覧 6 国土交通省国土政策局:国土数値情報(学校データ)、2019.10.1に閲覧

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