自転車の通行空間整備過渡期における道路政策のあり方に関する研究
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21 行空間(自転車走行指導帯)は、そもそも地域でも自転車に関連する事故の多い区間に指定されているものであるし、評価に際してもデータ化に向けた便宜上の観点も含め、上記の視点を踏まえた区間のランクを算出し、全体としての「安全性」を評価することとした。 (2)使用データ 上記の空間評価の視点を踏まえ、本研究では以下のようなデータ収集を行った。調査する項目は、以下のとおりである。 ・幅員(車道・歩道(有効幅員)・路肩(側溝部分を含む)) ・車線数(車道) ・区間内の歩道進入可能箇所数(箇所/100m) ・交通量(豊田市提供データ) 上記は、自転車通行空間の交差するノードごとにリンクを作成し、それぞれの中間点における値を当該リンクの代表値として整理した。データの収集は、便宜上、幅員、車線数はGoogle satelliteの航空写真を用いた写真測量により導出した。区間内の歩道進入可能箇所数は、Google street viewの画像を用いて、区間内の歩道進入可能箇所を測定した。なお、Googleの提供する航空写真等の画像データは撮影時期の関係上、現況の状態と差が生じる可能性が予想されるが、今回対象とした区間においては、撮影時期と現況の間で幅員等の齟齬はなかった。 3-1-2.結果 (1)全般的傾向 表3-1に全体傾向を、図3-1~図3-4に視点別に図示した結果を示す。車両危険性以外の値は、方向別の値のうち、特に課題が生じやすい小さい値となる側のものを示している。図3-1の物理的乖離の傾向をみると、名鉄豊田市駅周辺地域において、平均値を超える比較的値の大きい区間がみられる。また、他の区間と比較しても交通量の多さが予想される国道沿いに整備される区間における値は平均値以下となる区間もあるなど決して大きくはない。この傾向は図3-2に示す回避容易性でもみられる。他方、歩行者衝突回避および車両危険性は幹線系の道路で値が大きくなっている。 表 3-1 各視点の平均及び標準偏差 (n=65) 物理的乖離 (m) 回避容易性 (箇所/m) 歩⾏者衝突回避 (m) ⾞両危険性 (台/⽇) 平均 3.67 3.18 2.32 10,831 標準偏差 0.53 1.77 0.83 5,904

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