20 3.自転車通行空間の整備と利用のギャップに関する整理 3-1.対象とする自転車通行空間の選定 3-1-1.方法 対象とする自転車通行空間の選定に際して、愛知県豊田市内の主要自転車通行空間(車道混在型、自転車走行指導帯が整備される空間)について、道路構造および交通実態を把握する。この整理を通じて、自転車通行空間の中でも比較的安全性の高い(構造的に余裕がある、自動車交通量が少ない、など)空間を選定する。 (1)空間評価の検討 安全性による空間評価どのように検討するかはひとつの重要な視点である。しかしながら、安全性という概念は一意的なものでなく、多様な条件のもとに総合的に判断されうるものであろう。本研究では、安全性を対車両、対歩行者という2視点に着眼しつつ、次のような多角的視点から考えることとする。 【物理的乖離】 自動車が通行する空間が車両の通行する空間から「物理的」に離れている。すなわち、「車道幅員(走行車線)」+「路肩幅員」の幅が広いと車道走行が「安全」であると考える。 【回避容易性】 自転車が自身の安全のため歩道に比較的容易に出入りすることができる。すなわち、「距離当たり歩道進入区間数」が多いと車道走行が「安全」であると考える。 【歩行者衝突回避】 歩道において歩行者と安全にすれ違うことができない有効幅員を有する。すなわち、「歩道の有効幅員」が狭いと車道走行が「安全」であると考える。 【車両危険性】 車道において車両との衝突危険性が低い空間を有する。すなわち、「交通量」が少ないと車道走行が「安全」であると考える。 無論、安全性を判断するうえで、心理的印象によるものや、交通事故の発生状況など、上記以外の視点があろうことは十分に予想されるが、今回対象とする車道混在型の自転車通
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