9 また、自動車プローブについて、当研究所の先行研究は整理したものがある9)。バスプローブデータは自家用車のプローブデータと比較して、いくつかの欠点も挙げられる。まずは、バスプローブデータから把握できる交通情報はバス車両が走っている道路区間のみであるため、広範囲での交通情報把握は不可能である。次に、バス車両は道路渋滞状況の影響を受けるほか、乗降者数の状況や早発防止などの要因を考慮する必要があるため、道路渋滞状況を反映することに限界がある。そして、バスプローブデータを用いた分析は、バス運行時間帯内における交通状況を反映しているため、24時間の交通状況を把握することは不可能である。 一方で、日本国内では、大規模な自動車プローブデータとして、タクシープローブデータのほか、車載器に記録している自家用車のプローブデータを入手することは極めて困難である現状にある。また、地方都市では、タクシー車両の保有台数は少なく、さらに利用需要は大都市と比較して少ないため、タクシープローブデータを活用することは困難である。 このため、道路渋滞の把握に限界があるバスプローブデータは道路渋滞状況を把握するための方法として使われている。また、これまでの自主研究や受託業務において、当研究所が用いたプローブデータの比較結果を表 2-2に示す10)。この結果から、バスプローブデータはそれ以外と比較して、遜色がないことが分かる。特に、固定路線を対象に、長期間にわたって、低コストで走行プローブデータを継続的に収集することは可能となる。ここで、研究所が入手した貨物車デジタルタコグラフデータは愛知県内の運送事業者からご提供頂いたものであるため、申請期間以外では利用することはできない点に留意する必要がある。 表 2-2 プローブデータの比較結果 9) 公益財団法人豊田都市交通研究所,「交通データの情報収集と活用方策に関する研究」自主研究報告書,2016年3月. 10) 公益財団法人豊田都市交通研究所,「豊田市TDM施策を評価する簡便な指標の研究」自主研究報告書,2017年3月. バスプローブデータJARTICVICSデータ実走データ貨物車デジタルタコグラフデータデータ仕様30秒毎の経度・緯度5分毎の渋滞長・回数指定時間帯の経度・緯度1秒毎の速度特徴バス路線定刻1データ/区間・10~60分VICS設置路線指定区間指定時間帯実測値貨物車ルート1データ/区間・30~120分データ購入費50,000円/6ヶ月(バス路線)55,000円/1ヶ月(愛知県全域)335,000円/7路線・3回・3日無償データ調達時間2日間(CD入手)14日間(CD入手)0日間(調査当日)2日間(CD入手)データ加工時間1.5H/バス路線のノード間所要時間10H/VICS設置路線の渋滞長マップ0.5H/指定区間の速度推移2H/貨物車ルートのリンク旅行速度
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