113-5.低速自動運転車が周辺交通に与える影響分析のまとめ 中心市街地での低速自動走行車の走行に向けた課題を整理する。 低速で走行するために後部に車列を形成し、混雑や危険な追い越しを生じさせる。 はみ出し可の区間では、約2/3の車両に追い越される。残り1/3は自車右折で追従終了していた。つまり、チャンスがあれば抜かれていた可能性が大きい。 はみ出し禁止の区間でも、約1/6の車両に追い越される。対向車が少なければさらに多くなることが懸念される。 実証実験中止の原因となった交通事故は、区間3のはみ出し可の区間で発生した。また、はみ出し禁止の区間でも追い越しが発生することから、事故発生のリスクを高めることや、交通ルールに違反する行為を誘発することにつながりかねない。できるだけ追い越しが発生しないよう配慮することが求められる。 試験走行時には、先に示した低速自動運転車両が走行中であることを示す看板を掲示したが、上記のような追い越しが発生していた。 以上より、今後低速自動運転車の実証実験を実施する際は、可能な範囲で走行速度を上げることで、できるだけ後続の車列を形成させないよう配慮すること、及び、追い越しを抑制するための後続車への情報発信が求められる。例えば次のような対策が考えられる。 グリーンスローモビリティの仕様である時速20km未満で走行する 時速20kmと低速であることにより道路運送車両法の保安基準が緩和される なお、今回の実証実験では時速14kmで走行する計画(試験走行も同様)だった 後続車に低速自動運転車両の動き(走行経路)を知らせて、どの程度の時間(または距離)追従すればよいかを知らせる 例1:車両後部に液晶パネルを設置し、走行位置に応じてその後の経路等を案内 ただし、車両に電光掲示板等の灯火を取り付けることは規制されている※1 また、交通整理は警察官や交通整理員が行うことができるとされている※2 ※1道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第62条 ※2道路交通法 第6条 例2:(路側での情報発信)追い越し発生が多発しそうな箇所手前の路側に 看板を設置し「低速自動運転車はこの先○mで右折します」等と表示 低速自動運転車両の後部に設置する表示板に、後続車への協力要請や理解促進の文言を表示する 例1:「低速走行中 ご協力をお願いします」 例2:「安全のためゆっくり走行しています」
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