31 これらについて分析するため、高齢者を対象とする意識調査をした。調査は、WEB調査にて令和2年3月末~4月初旬にかけて行った。回答母集団は調査会社に登録する愛知県在住の60歳以上の方(N=39,171)である。回答総数は1,250名であった。内訳は、男性677名(平均70.4歳)、女性573名(平均68.7歳)と男性の回答数がやや多くなったが、ある程度はバランスが取れており、偏りの低い結果が得られると考えた。 図 5-1 個人の所得、医療費、生きがいを規定する仮説 5-2.結果 5-2-1.個人の活動(量)と所得、医療費、生きがいの関係性 表5-1は、回答者の活動量がそれぞれの所得(給与・事業所得)、医療費(窓口での支払い額)、生きがいに影響を与えているかを重回帰分析により分析した結果である。活動量は週4日以上〜月1日未満の範囲で設定した4水準のいずれかで回答をしてもらっている。 全体を俯瞰すると、すべての活動量の多さが、生きがいの高さに影響を与えている(統計的に有意である)ことがわかる一方、このような活動量が医療費には影響を与えていない(統計的に有意であるとはいえない)ことがわかる。収入は「就労」の活動量の多さに加え、「運動・スポーツ」や「散歩・軽い体操」の活動量からも影響を受けていることがわかる。両者とも体を動かす活動ではあるが、「運動・スポーツ」の活動量の多さは、収入の多さに、「散歩・軽い体操」の活動量の多さは収入の少なさに結び付いているといった特徴が見える。生きがいは、総合的な生きがいの下位尺度とされる3つにおいて、活動量の影響の違いがみられる。特に、「生活・人生の楽天的肯定感」といった尺度では、「就労」の影響があるとはいえず、それ以外の活動量の多さによって表現される傾向があることがわかる。 個人の活動(量)個人の状態個人の背景個人属性同居の状態健康状態日常生活能力交通(手段)居住する地域就労近所づきあい友人との交流趣味・習い事散歩・軽い体操運動・スポーツ所得(活動による)医療費生きがい交流・文化活動身体活動個人の特性個人の環境
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