26 これらは、今回対象としている市町村国民健康保険の制度特性がそのまま反映された結果であろう。すなわち、労働率が高いということは、国民健康保険以外の医療保険制度に加入している割合が高いということであるし、高齢化率が高いということは、国民健康保険に切り替えた人が多いということである。その他、老人福祉費(正の相関)、在宅療養支援診療所数(正の相関)などで有意となった群が多いことがわかる。また、生活基盤のうち、医療系の指標では正の相関となっている群が多く、事業所系では負の相関となっている群がみられる。交通基盤では徒歩、鉄道、自家用車、自転車が有意となっているが、鉄道のみ負の相関となっている。また、産業基盤ではいずれの指標も選定されていない。町、村では有意・選定された指標が少なく、社会基盤が医療費に与える影響が限定的であることが予想される。 4-2-3.医療費の変化割合(2010→2015年)の要因分析 表4-5に医療費の変化割合の要因分析の結果を示す。分析にあたってのモデル構築では、医療費同様、目的変数との単相関(>0.1)及びVIF(<10)から変数を峻別し、ステップワイズ法(変数増減)にてモデルに使用する説明変数を選択した。解析には、医療費同様、重回帰分析である。調整済み決定係数をみると、R2=0.02~0.23といずれの群でも値が低く、モデルの信頼性が低い。有意となった変数も少なく、5年程度の医療費の変化に対しては、社会基盤が与える影響は限定的であることが予想された。 以下では変数の傾向をみる。まず、都市公園数(負の相関)、前期高齢者労働力率(正の相関)は複数の群で有意となっていることがわかる。高齢化率は、いずれの群でも有意ではなく、5年程度の医療費の変化に対しては影響があるとはいえないようである。生活基盤で有意となった指標はいずれも負の相関となっており、これらの整備が5年程度の医療費の抑制に効いている可能性が示唆された。交通基盤では、徒歩、自家用車、自転車が有意となっており、徒歩と自転車が負の相関となっている。これらの推進が5年程度の医療費の抑制に効いている可能性が示唆された。 4-2-4.高齢者(前期高齢)の労働力率の要因分析 表4-6に高齢者(前期高齢)の労働力率の要因分析の結果を示す。分析にあたってのモデル構築では、医療費同様、目的変数との単相関(>0.2)、VIF(<10)から変数を峻別し、ステップワイズ法(変数増減)にてモデルに使用する説明変数を選択した。その後、重回帰分析を実施した。調整済み決定係数をみると、医療費同様、町(R2=0.39)、村(R2=0.33)の値がやや低く、モデルの信頼性が低いことがわかる。 傾向をみていくと、まず、すべての群に有意な影響を与えたのは「非高齢労働力率(女性)」(正の相関)のみであった。次いで多いのが「人口集中地区面積」(負の相関)で、村を除きすべてで有意となった。その他、農業産出額(正の相関)などで有意となった群
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