超高齢社会における社会基盤の在り方に関する研究~高齢者の財務的効率・生きがいに着眼して~
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23 のであって、労働を通じた所得の多少は表現され得ず、「効率性」といった議論においては課題が内在している。この点については今後の課題としたい。 これらの個人の「財務的効率」を代替する指標に影響を与える基盤として、ここでは、データソースの制約等を踏まえて、以下の4視点から選定した。 行政基盤:財政力指数、行政支出 生活基盤:医療施設、福祉施設、事業所(食料品)、可住地・DID面積、道路、住宅 人口基盤:若年人口、高齢人口 産業基盤:1~3次産業出荷・販売額 交通基盤:利用交通手段の割合 行政基盤の行政支出については、高齢福祉や都市の生活基盤や産業基盤に影響を与えると予想されるものを選定した。生活基盤では、既往研究で医療費への影響の確認されている病床数28や介護老人福祉施設29などに加え、高齢者の活動に影響を与えることが予想される小売業事業所数や都市公園数を変数として組み入れた。人口基盤では、本研究の視点である高齢化率とともに、都市活動を支える高齢以外の人口構成を表現するものを選定した。産業基盤では、産業分類ごとの影響を表現するものを選定した。交通基盤は市町村別のデータが網羅的に整理されているという点から、代替指標として国勢調査による「常住地による15歳以上自宅外就業者・通学者数に対する交通手段の割合」を便宜的に活用することとした。 28 老人医療費の都道府県格差に及ぼす要因の検討―老人医療費の多寡によるグループ分けからみた分析―,新潟青陵学会誌 第6巻第1号,2013,pp.1-11 29 印南一路:医療費の決定構造と地域格差,医療と社会,7-3,1997,pp.53-82

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