高齢者の「終活」MMツールの考案
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-35- 3-6 体験乗車会において得られた知見 豊田市交通政策課からの委託研究事業として下山地域を対象に実施したバス体験乗車会において、アンケート調査結果およびグループヒアリングから得られた知見を以下に整理する。限られた地域における取組みであり、またこのような企画に参加する高齢者は比較的健康で積極的に外出している可能性があることを踏まえなければならない。 (1) 中山間地域における高齢者の交通行動実態 • 外出頻度は参加者の35%がほぼ毎日、週5日以上は61%である。 • クルマへの依存度が高く、バスを使ったことがない人は35%である。 • 外出先は「商店」「医療機関」という生活必需の用件が多く、66%を占める。 • 歩行機能が低下していてもクルマの運転は続けている。むしろクルマに頼らなければ外出できない人もいる。 (2) 自動車運転に関する意識 • 運転免許の返納は、きりの良いタイミングでの実践が期待されるが、現状では返納意向は低い。 • 下山地域内の生活エリアだけでも生活のためにクルマの運転がしたいという意向があり、特に高齢になるほどその傾向が見られる。 • 現状ではクルマが使えることから、半数の人はバスが無くても不便を感じない。 (3) 交通行動変容を効果的に促す手法のヒント • 友人と一緒に買物や食事をする「楽しい経験」とバスでの移動を組み合わせることで、バスへの理解を「好感」として深めることができた。 ⇒ 楽しい経験を提供することの効果 • 同行者との会話や車窓を楽しむことに加え、運転しないことの気楽さや駐車場の心配が不要であることなど、参加者にバス利用の利点を気づかせることができた。⇒ ルマ利用の不安材料を払拭することの効果 • 高齢者の交通事故に関する報道により、「遠出しなくなった」「安全車両に買い換えた」という行動変容があった。⇒ 補償運転も行動変容メニューとして必要 • 家族(特に子)からの進言が免許返納に効果的である可能性が示唆された。 (4) MMのターゲット • 参加者の多くは女性(男性は2名のみ) ⇒ 男性高齢者を対象としたMMの機会も必要。

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