高齢者の「終活」MMツールの考案
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-8- 3 高齢者の交通実態と意識に関する調査 3-1 豊田市下山地域でのバス体験乗車会 (1) バス体験乗車会の概要 豊田市では市が運行する基幹バス(おいでんバス)にIC乗車券を導入しており、その利用率は平成30年度時点で68.3%であった。IC乗車券のさらなる普及により、利用者の利便性向上および利用者増加が期待される。また、地域内の高齢者の生活交通として機能している地域バスは、電話予約によるデマンド運行がなされている地域が多く、その予約方法を十分に理解していないことが利用の障壁となっている可能性が危惧される。そこで体験乗車会により「IC乗車券の利用方法」および「地域バスの予約方法」を解説するとともに実際に乗車体験(予約体験)し、利用促進を図ることを目的とした取組みを、豊田市交通政策課からの委託研究業務として豊田工業高等専門学校との共同により実施した。具体的には、IC乗車券の利用方法や地域バスの予約に関する説明会と乗車移動、アンケート調査による情報収集と意識把握、グループディスカッションによる意見収集で構成する。本章はその結果を抜粋し再構成している。 対象地域は、豊田市内の中でも特に高齢者の社会活動の場である「地域ふれあいサロン」の活動が盛ん(表3-1)な下山地域を選定した。地域ふれあいサロンは社会福祉協議会による地域支援事業であり、全国各地で展開されている。子どもから高齢者まで近隣住民の「ふれあい」の場づくりによる「支え合い」の事業であり、高齢者の認知症予防や一人暮らしの高齢者の社会活動の場として機能している。豊田市社会福祉協議会下山支所(以下、社協支所と記す)を通じてサロン単位で参加グループを募集し、体験乗車会を実施することとした。 表3-1 豊田市内の地域別サロン数(平成31年3月31日現在) 地区名 サロン数 地区名 サロン数 地区名 サロン数 崇化館 13 竜 神 9 松 平 13 梅坪台 3 末野原 9 藤 岡 24 浄 水 4 若 林 5 藤岡南 11 朝日丘 2 前 林 8 小 原 12 逢 妻 12 若 園 4 足 助 22 豊 南 10 猿投台 7 下 山 24 高 橋 14 井 郷 6 旭 24 美 里 8 石 野 8 稲 武 12 益 富 7 猿 投 7 上 郷 11 保 見 13 合 計 302 下山地域は平成17年度の市町村合併において豊田市に編入された旧下山村であり、豊田市中心市街地から約40分の中山間地域に位置し、人口は約4,500人、世帯数は

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