35 6.研究のまとめ及び今後の研究方針 6-1.研究のまとめ 本研究では、人口及び移動について着目し、100mメッシュデータを用いて将来推計都市構造を検討した。また、「将来都市構造可視化シミュレーションツール」を構築した上で、本ツールを用いて、土地区画整理事業後の人口増加や公共交通周辺の人口維持を目標とした将来都市構造を検討した。以下に本研究で得られた主な知見を整理する。 1. 豊田市行政計画において設定している2040年人口と国立社会保障・人口問題研究所が算出している2040年人口を比較すると、豊田市全域で11,134人の差分がある。その差分のうち、都市計画区域が10,876人、山村地域が259人となり、豊田市全域の人口差分の内、その殆どが都市計画区域での人口差分であった。 2. 100mメッシュ将来推計人口を構築した結果、用途地域内では20人以上40人未満の低密度なメッシュが少なく、2040年時点においても、1人以上の人口を有するメッシュの内、40人以上の人口を有するメッシュが半数以上となっている。一方、山村地域では、人口を有さないメッシュや20人未満のメッシュが微増傾向にあり、2040年時点においては、1人以上の人口を有するメッシュの内、1人以上20人未満の低密度なメッシュが大半を占めている。以上より、都市計画区域内では高密度な人口分布はある程度維持されるが、2040年の山村地域では低密度な人口を有する地域が多くなると思われる。 3. 小ゾーン別PT量を算出した結果、総トリップ数は2010年では911,320トリップであったが、2040年には843,156トリップに減少し、減少率は0.92であり、人口の減少率(0.97)よりもトリップ数の減少率のほうが大きい。これは、高齢者人口割合が増加することで、一人あたりのトリップ数が減少することが起因していると考えられる。 4. 2010年、2040年推計においても自動車の代表交通手段分担率は高く、特に山村地域では代表交通手段が自動車である割合が80%を超えている。 5. 将来都市構造可視化シミュレーションツールを用いて、土地区画整理事業への人口集約と公共交通周辺の人口維持をルールとして設定し、将来都市構造のシナリオ分析をした。本ツールでは、集約する地域や目標人口密度等を細かく設定でき、様々なコンパクトシティを検討できる。
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