人口構成と交通動向を考慮した 将来都市構造可視化シミュレーョンツールの開発に関する研究
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5.将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発 本章では、豊田市の計画するコンパクトな将来都市構造を人口分布の観点から可視化し、どのような都市構造になるかを検討する。 はじめに、将来都市構造可視化シミュレーションツールを開発した上で、目標人口や集約範囲を決定するシナリオを設定し、シナリオに基づいたコンパクトシティの検討・評価をする。 5-1.将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発 はじめに、様々な将来都市構造を検討できる将来都市構造可視化シミュレーションツールを開発する。その際、将来像を検討する年度の設定や将来的に人口が増加するであろう土地区画整理事業を行っている地域、鉄道駅やバス停等の公共交通の立地位置、行政計画において拠点と設定されている地域等、ある程度のデータを予め組み込んでいる。また、人口集約及び人口維持を行う際の前提条件として、以下の3つの基本的ルールを設定する。 ① 2015年時点においてメッシュ内人口が0人の場合は、当該メッシュには人口を集約しないこととする。 ② 用途地域外には人口を集約しないこととする。 ③ 目標人口数の設定により、目標年の人口よりも低くなった場合は、目標年の人口を採用することとする。 本ツールの操作画面を図 5-1に示す。 シート1では、目標年を選択した上で、その目標年の5歳階級別人口が表示されるようにしている。 シート2では、土地区画整理事業への人口集約を検討するために、現在進行中の土地区画整理事業にどの程度の人口を集約するかを設定する。 シート3では、公共交通拠点周辺への人口集約として、用途地域内及び用途地域外の鉄道駅・バス停から半径何mを集約拠点として設定した上で、どの程度の人口を集約するかを設定する。 シート4では、行政計画において設定している拠点・核への人口集約として、拠点・核から半径何mを集約拠点として設定した上で、どの程度の人口を集約するかを設定する。 以上のように将来都市構造可視化シミュレーションツールを用いて将来像を検討することで、集約する地域や目標人口密度等を細かく設定でき、様々なコンパクトシティを検討できる点が本ツールの特徴である。また、専門的な知識を持たない場合でも、直感的に将来像を検討し、可視化できるため、市民への説明や合意形成の場などで用いられる点について、本研究の有用性が高いと考えられる。

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