次世代自動車のCO2 排出量算定における ビッグデータの活用に関する検討~ 車検証データに基づく自動車走行距離の推計 ~
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33.新たな自動車走行距離推計手法の提案 3-1.基本的な考え方 国土交通省は、2004年1月1日から、中古車の総走行距離メーターを不正に巻き戻して高く売る詐欺商法への対策として、車検証の備考欄に、車検時のオドメーター(総走行距離メーター)の値と計測日を「走行距離計表示値」として記載するとともに、前の車検証に記載されていた走行距離計表示値を「旧走行距離計表示値」として記載するという対策を講じた。車検証備考欄の記載例を図 3-1に示す。 これらの車検証記載事項を用いると、最新の車検とその一つ前の車検の期間、さらにその期間の走行距離が分かるため、走行距離を期間で割れば、車両の年間平均走行距離を正確に算出することができる。算出式は、式(1)のように表すことができる。本研究で提案する新たな自動車走行距離推計手法は、基本的にこのような考え方に基づいている。 iioldinewiTVIODOODOAATD/)(,,−= (1) ここで、 AATDi :車両iの年間平均走行距離(km/年) (Annual Average Travel Distance) ODOnew,i :車両iの車検証に記載された走行距離計表示値(km) ODOold,i :車両iの車検証に記載された旧走行距離計表示値(km) TVIi :車両iの車検証に記載された旧走行距離計表示値の計測日から走行距離計表示値の計測日までの車検間の期間(年) (Term of Vehicle Inspection) 図 3-1 車検証備考欄の記載例 なお、新旧走行距離計表示値の記載の有無は、車検回数によって表 3-1のように異なる。初回車検では両方の記載がなく走行距離を算出することはできない。また、2回目車検では旧走行距離表示値の記載がないものの、ほとんどの車両が新車で初度登録されたと考えられるので、旧走行距離計表示値をゼロと仮定して走行距離を算出することがでる。

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