11.はじめに 環境モデル都市である豊田市では、CO2排出量の削減に取り組んでいる。特に、クルマのまちであることから、自動車からのCO2排出量削減は重要な課題となっている。 しかし、現在、市町村で採用されている自動車CO2排出量の推計手法は、愛知県全体の自動車CO2排出量を、自動車保有台数で按分したものであり、各市町村が取り組んだ次世代自動車の普及促進や、自動車から公共交通への転換等の施策成果を反映できる仕組みとはなっていない。そこで、本研究では、昨年度に引き続き、自動車CO2排出量算定の改善に関する研究を実施する。 昨年度は、市町村間の保有車両の燃費の違いや車両走行距離の違いを反映できる自動車CO2排出量推計手法を提案し、乗用車の保有燃費の違いを反映する具体的な方法として、一般財団法人自動車検査登録情報協会から提供される「個別統計データ」等を用いて、車両重量200kg毎に車種を細分化する方法(図 1-1)を検討し、以下の知見を得た。 昨年度の課題として、市町村別の自動車走行距離の違いを反映させることが残ったため、本年度は、市町村別の自動車走行距離を高精度に推計する手法を提案する。 ‣ 車両重量を用いて細分化した車種毎のCO2排出原単位は、カタログ燃費と車両重量の関係をモデル化し、自動車CO2排出量の推計値と、全国または都道府県別のエネルギー消費量統計に基づく自動車CO2排出量とが一致するように、カタログ燃費に拡大係数を乗じることで得ることができる。 ‣ 従来手法と提案手法を用いて、豊田市の乗用車CO2排出量を比較した結果、提案手法では1.6%の減少となる。 ‣ 豊田市の車両重量別ハイブリッド車保有率を算出した結果、豊田市の保有車両数の約4割を占める車両重量1,400~2,000kgクラスでHV保有率が7.7~20.2%と低いことから、この重量クラスに該当するミニバン等で次世代自動車を普及させることで、自動車CO2排出量のさらなる削減が期待できる。 従来法(B法)ガソリン軽乗⽤⾞ガソリン⼩型乗⽤⾞(HV含む)ガソリン普通乗⽤⾞(HV含む)軽油⼩型乗⽤⾞軽油普通乗⽤⾞LPG 乗⽤⾞提案手法ガソリン軽乗⽤⾞ガソリン⼩型・普通乗⽤⾞(HV除く)(⾞両重量区分別)ガソリンHV⼩型・普通乗⽤⾞(⾞両重量区分別)軽油⼩型乗⽤⾞軽油普通乗⽤⾞LPG 乗⽤⾞ 図 1-1 従来手法と提案手法との乗用車における車両区分の違い
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