255.提案手法の適用 本章では、本研究で提案する走行距離推計手法(B法)を用いて、既存統計では推計することが難しいものに対する適用事例として、次の2つの事例について紹介する。 ・貨物車の車両重量区分の細分化 ・自家用乗用車の市区郡別推計 5-1.貨物車の車両重量区分の細分化 貨物車はその用途により幅広い車両重量のものが存在している。車両重量は車両の燃費、さらには、走行距離当たりのCO2排出係数と強い関係があることから、貨物車からのCO2排出量を正確に推計するためには、車両重量を細分化して走行距離を知る必要がある。 しかし、既存統計で走行距離が公表されている貨物車の区分は、軽貨物車を除くと、小型貨物車と普通貨物車2車種分類となっている。 そこで、本提案手法のB法を用いて、車両重量区分を3.5t未満、3.5t以上8t未満、8t以上14t未満、14t以上の4区分に細分化して、軽貨物車を除く、全国の貨物車の年間平均走行距離を推計した。 車種グループの分類と走行距離の推計結果を表 5-1に示す。また、個別統計データの設定条件を表 5-2に示す。車種グループは、初度登録年月を用いて2回目車検に該当するかどうかを判断できるように、グループ1からグループ8を用いることが望ましいと考えられる。本適用では、予算の都合等から、グループ5からグループ8の代かってグループ9とグループ10に分類して推計した。また、車両総重量3,500kg以下の2017年度の平均走行距離FYTD2017FYを算出するにあたっては、全車両台数Nexistenceで重み付けしたグループ1とグループ2の年間平均走行距離AATDから加重平均により算出した。車両総重量3,501kg以上8,000kg未満でも同様である。 表 5-1 車種グループの分類と走行距離の推計結果(貨物車) 車種グループ12345678910地域統計用車種車両総重量8,000kg以上14,000kg以下14,001kg以上初度登録年月2015年3月以前2015年4月以降2015年3月以前2015年4月以降2016年3月以前2016年4月以降2016年3月以前2016年4月以降2018年3月以前2018年3月以前車検間の期間TVI(年)1212111111全車両台数Nexistence(台)2,324,909609,9631,963,150343,57776,575548,449サンプル車両台数Nsample(台)2,209,568199,4681,868,446110,14265,402436,788サンプル率Rsample95.0%32.7%95.2%32.1%85.4%79.6%式(9)の計算値(km・台・年)29,717,442,0007,689,688,00028,888,412,0005,219,225,0002,004,631,00026,303,683,000年間平均走行距離AATD(km)13,44919,27515,46123,69330,65160,221年度別平均走行距離FYTD2017(km)30,65160,22114,001kg以上全国普通貨物車、小型四輪貨物車、小型三輪貨物車14,66016,6873,500kg以下3,501kg以上8,000kg未満8,000kg以上14,000kg以下 推計の結果、車両総重量が重くなるほど、年度別平均走行距離が長くなる傾向がみられた。特に、車両総重量14,001kg以上の車両では、年間平均で約60,000kmを走行しており、
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