次世代自動車のCO2 排出量算定における ビッグデータの活用に関する検討~ 車検証データに基づく自動車走行距離の推計 ~
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平成30年度 自主研究概要 報告者:加藤秀樹 研究分野 1.暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 次世代自動車のCO2排出量算定におけるビックデータの活用に関する検討 ~車検証データに基づく自動車走行距離の推計~ 研究の背景・内容 低炭素社会の実現に向けて、日本全体のCO2排出量の2割弱を占める運輸部門が担う役割は大きい。近年では、多様な次世代自動車(HEV, EV, PHV, FCV)が市販されるようになり、これらの普及による低炭素交通の実現が期待されている。しかし、多くの自治体でCO2削減目標と実績値には大きな乖離が生じており、これは、各種施策の定量的な効果評価が不十分だったためと考えられる。 そこで、次世代自動車の先行的な大幅普及を目指す豊田市の施策支援の観点から、平成28年度は、ハイブリッド車購入時の自治体による補助金の普及拡大効果の定量的評価を行った。平成29年度は、次世代自動車普及効果を反映できていないCO2排出量算定の方法の改善に着目し、既存の統計資料をベースにした自動車の排出原単位の整理を行い、日本全体の自動車CO2排出量と整合性を担保した車種別CO2排出原単位の提案を行った。 本年度は、自治体ベースでより現実に近い自動車CO2排出量を得るために、オープンデータ(車検証データ)を活用した自動車走行距離の推計方法について検討した。 研究結果・ 得られた知見等 ・ 本研究で提案した自動車走行距離の推計法について、営業用バス走行距離を用いて、自動車輸送統計調査(バス全数アンケート)の統計値と比較検証した結果、車検証データの走行距離データ欠損値や異常値を取り除くことで、精度の高い走行距離推計法となることを確認した。 ・ 貨物車の年間走行距離の分布から、車両総重量が大きいほど、走行距離が長くなること、14tを超えるような大型貨物車では、10万キロを超えるような車両も約17%も存在することが分かった。 ・自家用乗用車において、愛知県排出量を車両台数で按分し各自治体の自動車CO2排出量を算定する場合、各自治体の走行距離の違いによって、最大8.7%過大評価される自治体、逆に19.8%過小評価される自治体があり、走行距離を考慮した算定方法が必要であることを明らかにした。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む・豊田市施策への直接的な貢献:自動車CO2排出量算定方法の改善 ・オープンデータ・ビックデータの活用:MOTAS※の活用。 ※ 自動車登録検査業務電子情報処理システム(車検証の統計データが提供される) 所内の担当者 氏名・担当者 加藤秀樹 協力先名 一般財団法人自動車検査登録情報協会(個別統計データの提供) 問題点・課題・今後の 研究予定・その他 個別統計データは有料で提供されるため、各自治体が独自にデータを入手し走行距離を推計するには経済的な負担が大きい可能性がある。そのため、自治体別の自動車走行距離データを提供できる仕組みを提案する必要がある。 関連論文(H30年度) (当年報掲載ページ)

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